「世田谷一家殺害事件」発生から四半世紀 未解決の壁は崩れず #専門家のまとめ
20世紀最後の日に発覚した「世田谷一家殺害事件」は、未解決のまま25年目に入った。この事件では、東京都世田谷区上祖師谷の民家で、44歳の男性会社員、41歳の妻、8歳の長女、6歳の長男が殺害された。
現場では、犯人のジャンパーなどの遺留品が見つかり、指紋とDNAも採取された。にもかかわらず、犯人逮捕には至っていない。現在、この事件の解決につながる有力情報には、最高2000万円の懸賞金が支払われることになっている。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
世田谷一家殺害事件の現場には、犯人の血液が遺留しており、DNA型も判明している。しかし、犯人逮捕には至っていない。
その理由の一つとして、DNA情報の利用がDNA型の照合、つまり、同一人物か別人かといった個人識別に限定されている点が挙げられる。
そもそも、コンピューターがハード(モノ)とソフト(プログラム)で構成されているように、生命の設計図である「ゲノム」も、DNAというハードウェアと遺伝子というソフトウェアから成り立っている。
したがって、DNA情報をもとに「顔」や「年齢」などの特徴を抽出し、捜査対象を浮かび上がらせること(一種のプロファイリング)は可能なはずであり、実際、アメリカではその実用化が進んでいる。
ただし、日本では個人情報保護上の問題もあり、このような利用法は認められていない。
また、世田谷一家殺害事件の現場は、写真から見る限り「犯行が見えにくい場所」である。これは、犯罪機会論の観点から見ると、犯罪が発生しやすい場所といえる。
最近の闇バイトを利用した強盗団が「見えにくい家」をターゲットにしているのも、同じ理由によるものだ。こうした点は、この事件の教訓として心に留めておきたい。