子供の好奇心が持つ驚きの効果!好奇心が高いと学力も高くなる?【科学の芽を育てる絵本】絵本と子育て
皆さんは、お子様から「これ何?」「これは?」「なんで?」「どうして?」といった質問攻めにあったことはありませんか?子どもが様々なことに疑問を抱いて質問攻めにする時期こそ、知的好奇心が大きく成長する大切な時期といわれています。子どもの「これは?これは?」「なんだろう?」「どうして?」という気持ちは知的好奇心の芽生えで、この知的好奇心は、学習意欲に深く関係する欲求の一つとされています。幼児期のこの質問攻めの時期に上手に向き合ってあげることで知的好奇心を育み、これが考える力の基礎作りにつながると言われています。
好奇心は、子供たちが知識やスキルを習得するためにも非常に重要と考えられています。自らの探究心を持って学ぶことで、子供たちは知識や理解を深めることができ、また、好奇心を持つことによって子供たちは自分自身の能力や興味について知り、自己肯定感を高めることができるとされています。そして、好奇心をもって新しいことに挑戦する中で、自己効力感を養い、自信をつけることにもつながっていくと考えられているのです。
では、子供の好奇心を育むためにはどのようなことが必要なのでしょうか?実は本や図鑑などのバーチャルな世界が現実の世界とつながりを持ったとき、子供は知的好奇心が引き出されると考えられています。子供が本や図鑑などで何かに興味を示したときに、すぐに本物を見せに連れて行く、これを何度も繰り返すことで、子どもの好奇心が育まれるのだそうです。
文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査によると、親が子供を図書館や博物館などに頻繁に連れていく習慣がある家庭は、そうでない家庭と比較して子供の学力が高いことがわかっています。このことから、文化的な施設で知的好奇心が刺激される経験を積むことが、学習習慣の形成につながっていると考えられます。さらに同調査では、家にある本の数が多い家庭で育った子供の学力が高い傾向にあることも明らかになっています。
絵本で子供の好奇心を育む
何かに夢中になっている子供の姿はキラキラしていますよね。子供たちの日常には「なぜ?」「どうして?」の不思議がいっぱいです。そんな好奇心をぐんぐん育んでいくために、子供が日常的に触れられる絵本は最適です。
そこで今回は、お子様の「なぜ?」「どうして?」の不思議の世界を広げてくれる「科学の芽を育てる絵本」をご紹介いたします。
『しずくのぼうけん』福音館書店 作: マリア・テルリコフスカ 絵: ボフダン・ブテンコ 訳: 内田 莉莎子
水の循環について、科学的な知識を楽しみながら学ぶことができる絵本です。可愛らしい水のしずくが、ぴしゃんと飛び出し冒険の旅へ出発しました。お日さまに照らされ、水蒸気になったかと思ったら、空高く上がり、雲の中へそして、雨のしずくとして地上に降り注いで、寒い夜には、氷のかけらになって…という水の循環と変化をユーモラスな物語で学ぶことができます。おしゃれなイラストとリズミカルな文章が科学絵本とは思えないほど魅力的です。
『はじめてのうちゅうえほん』 パイ インターナショナル 作・絵: てづか あけみ 監修: 的川 泰宣
『はじめての宇宙絵本』は、惑星や星、地球などの宇宙の不思議をストーリーで分かりやすく教えてくれる絵本です。太陽系の紹介や流れ星、隕石、天の川、人類が宇宙で行っていることなど、ポップで可愛らしいイラストで教えてくれるので、図鑑が苦手なお子様でも読みやすい作りになっていると思います。「地球から月まで新幹線で行ったら53日かかるの?」や「太陽までは飛行機では、20年かかる。」など子供にもわかりやすい例えを交えて、楽しく伝わりやすいような工夫がされています。小学生の自由研究に使っても面白い本だと思います。
『ひかりではっけん みえた!からだのなか』くもん出版 作: キャロン・ブラウン 絵: レイチェル・サンダース 訳: 小松原宏子
部屋の灯りや携帯電話のライトを利用して、ページのうしろから光をあてると、さて何が見えてくるのでしょうか?からだに関する疑問の答えを発見しながら読み進める、新しいタイプの知育絵本です。身体の機能や食べ物の消化など、身体の中で何が起こっているかをわかりやすく説明しています。赤ちゃんがどこで大きくなるのか、おしっこがどこでできるのかなど、子どもたちが興味を持つ内容が盛りだくさんです。光をあてると、表面だけではわからない身体の内部が見えるという子供たちがワクワクする体験ができる絵本です。この「ひかりではっけん」は「きょうりゅうのせかい」や「ジャングルのおく」など、シリーズで色々と発売されているので、お子様の興味に合わせて選んであげて下さいね。
『かわ』福音館書店 作・絵: 加古 里子
絵本界の巨匠、加古里子さんの長く読み継がれている傑作絵本です。山のてっぺんに降り積もった雪が溶けて流れだし、川になる過程が人々の日常や当時の産業の様子とともに細かく描かれています。川だけでなく、川沿いにある田畑や村、町などの人々の生活や、発電所や工場などの川を中心とした産業も描かれています。文章は端的に子供でもわかりやすい言葉で書かれていますが、細やかな絵で子供の好奇心が膨らみます。古くから読み継がれている絵本なので、現代では見られない川で洗濯する人や、馬を洗う人がいたり、子供には不思議な感覚かもしれません。表紙の地図記号の中にも、今は使われていない地図記号があったりしますが、小学生であれば、なぜ今はその地図記号は使われていないのかなど親子で考えるのも勉強になります。最後の海のページが美しくて、セリフも素敵で親子で大好きなページです。
お子様の心に残る絵本とたくさん出会えますように
今回は「科学の芽を育てる絵本」をご紹介いたしました。お子様にとって、繰り返し読みたくなるようなお気に入りの絵本にたくさん出会えること願っています。
高木美紀
【参考文献】
『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』 文響社 著:瀧 靖之
【参考資料】
令和3年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について(文部科学省)
令和3年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(国立教育政策研究所)
令和3年度 全国学力・学習状況調査の結果(概要)
令和3年度 全国学力・学習状況調査 報告書(質問紙調査)(国立教育政策研究所)
平成25年度全国学力・学習状況調査「保護者に対する調査」
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