「異次元の少子化対策」の財源は別にある
異次元少子化対策のメニューのたたき台が3月31日に公表されました。
少子化反転、3年で加速 児童手当、育休、保育拡充(2023年3月31日 20時51分 共同通信)
ただし、そこには財源は明記されていませんが、どうやら報道を見ていると、異次元の少子化対策の財源は社会保険料の引き上げで決定のようです。
子育て支援「財源は社会全体で」 全国民のメリット強調―権丈善一・慶大教授インタビュー (2023年4月2日 7時4分 時事ドットコム)
その財源として、年金受給者や企業を含む国民全体が、社会保険制度を通じて公平にお金を出し合う仕組み
少子化対策は固有財源で 来年度予算案で公聴会―参院 (2023年3月9日 16時53分 時事ドットコム)
昭和女子大の八代尚宏特命教授は、少子化対策の財源について「固有の財源が必要だ」と強調。介護保険のように社会全体で負担する仕組みの導入を求めた。
筆者は日頃、異次元の少子化対策の財源としては、①社会保障のスリム化→②高齢者給付からの付け替え→③消費税引き上げを主張していますが、今回は、こうした財源確保策のどれでもないもう一つの新たな財源確保策を提案したいと思います。
それは、2021年度末現在で204兆6,256億円となっている年金積立金から拠出(取り崩し)です。
考えてみれば、年金財源を確保するために消費税増税する傍ら莫大な年金積立金を有していて、結果的に残高も増やしているのはおかしいと言えばおかしいでしょう。
もし仮にこの205兆円もの年金積立金を少子化対策のためだけに毎年5兆円ずつ取り崩していけば、40年以上分の財源を確保できるわけです。
もちろん、現在、年金積立金は100年をめどに年金の財源とするべく取り崩しを行っているわけなので、子育てのために年金積立金を使うとなると年金の財源をどうするんだ!という怒りの声も聞こえてきそうですが、そうした批判には異次元の少子化対策によって増えた子どもたちが年金を始めとした社会保障を支えることになるから大丈夫でしょう?そのための異次元の少子化対策なんですよね?とお返ししたいと思います。それとも社会保険料引き上げで捻出した財源では子どもが増えるけれども、年金積立金を取り崩した財源では子どもは増えないというエビデンスはあるのでしょうか?
読者の皆さんは、異次元の少子化対策の財源として、社会保険料への上乗せで新たな負担を増やすのが良いでしょうか?それとも年金積立金の取り崩しが良いでしょうか?お考えをお聞かせ願えると幸いです。