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記録的短時間大雨が頻発するおそれ 2つの高気圧の狭間で

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
7日9日午前1時頃、熊本県芦北町や球磨村で猛烈な雨が降った(ウェザーマップ作画)

 9日(土)未明、大気の状態が非常に不安定となった影響で、雨雲が発達し、熊本県芦北町と球磨村付近で、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降りました。

 この記録的短時間大雨で、球磨村では土砂が道路を塞ぎ、14世帯が孤立する被害がありました。

記録的短時間大雨 7月のべ19回

 各地で早い梅雨明けとなった以降も、局地的な大雨が続いています。7月以降、記録的短時間大雨情報は全国で、のべ19回発表され、すでに昨年7月を上回っています。

 熊本県では5日も県北部の荒尾市で、1時間に120ミリ以上の猛烈な雨が降り、記録的短時間大雨情報が出されました。

2022年7月5日午前7時の九州付近の雲の様子(ウェザーマップ作画、筆者加工)
2022年7月5日午前7時の九州付近の雲の様子(ウェザーマップ作画、筆者加工)

東京都心は半月ぶりに涼しい朝

 一方、今朝(9日)の関東地方は北からの冷たい空気の影響で、気温が下がりました。栃木県の奥日光では朝の最低気温が12.2度、東京都心では21.8度と先月23日以来の涼しい朝となりました。

2022年7月9日午前9時までの最低気温(ウェザーマップ作画)
2022年7月9日午前9時までの最低気温(ウェザーマップ作画)

 この涼しさはつかの間で、またあの猛暑が戻ってくるのでしょうか。この先の天候を見通すために、今回は地上天気図に着目してみました。

 こちらは5日間平均でみた地上天気図です。図の中央に日本列島があり、暖色は平年と比べて気圧が高いことを、寒色は気圧が低いことを示しています。

関東や東海で最高気温が40度を記録した頃の地上天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)
関東や東海で最高気温が40度を記録した頃の地上天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 上図は関東や東海地方で、最高気温が40度を記録した頃の地上天気図です。高気圧が日本付近で強まった様子がわかります。

猛暑一転、不順な天候へ

 一方、こちらは今後、18日(海の日)頃にかけての予想天気図です。日本付近の色が暖色から寒色に変わっています。

7日18日にかけての予想の地上天気図(5日間平均)、ウェザーマップ作画、筆者加工
7日18日にかけての予想の地上天気図(5日間平均)、ウェザーマップ作画、筆者加工

 オホーツク海と南シナ海~フィリピン付近で、それぞれ高気圧が強く、この2つの高気圧に挟まれた日本付近は気圧が低く予想されています。

 このため、40度近い猛烈な暑さはなく、今後も湿った空気や上空の寒気の影響を受けるでしょう。天気の急変が起こりやすく、不順な天候が続く可能性があります。

【参考資料】

熊本地方気象台:大雨に関する熊本県気象情報(第3号)、2022年7月9日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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