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大糸線の末端区間「南小谷―糸魚川間」にインバウンド客が殺到!? JR券で乗れる大糸線増便バスも運行中

鉄道乗蔵鉄道ライター
南小谷駅(筆者撮影)

 2025年3月ダイヤ改正で、新宿―南小谷間295.2kmを結ぶ特急あずさ5号の運転区間が新宿―白馬間に短縮される。こうしたことから、筆者は特急あずさ5号に全区間で乗り通し、駅周辺を散策したことは筆者の記事(3月改正で消滅!1日1本だけ運行「南小谷行」特急あずさ号 新宿駅から4時間かけ全区間を乗り通してみた)と(新宿駅から特急あずさ号が「1日1本だけ」直通! 謎の終着駅、長野県の南小谷駅には何がある!?)でも詳しく解説したが、小谷村観光連盟でパンフレットをもらおうと思い小谷村役場庁舎を訪れた際に、気になるパンフレットを見つけた。

小谷村役場で配布していたパンフレットと同様の掲示が南小谷駅にもあった(筆者撮影)
小谷村役場で配布していたパンフレットと同様の掲示が南小谷駅にもあった(筆者撮影)

白馬―南小谷―糸魚川間にはJRのきっぷで乗れる増便バス

 「JR大糸線増便バス」と書かれたそのパンフレットは、南小谷―糸魚川間の1日7往復の列車に加えて、1日4往復の増便バスを運行するとあり、増便バスは南小谷駅を超えて白馬駅まで直通運行、JRのきっぷでも利用ができるという内容であった。パンフレットには大糸線活性化協議会と記されていた。小谷村のホームページに記載された情報によると、「北陸新幹線金沢―敦賀間開業で利便性が高まる大糸線沿線へ、より多くのお客様にお越しいただくことを目的」として増便バスの運行を行っているとのことだった。

白馬駅から南小谷駅に到着した大糸線増便バス(筆者撮影)
白馬駅から南小谷駅に到着した大糸線増便バス(筆者撮影)

 筆者が小谷村役場から徒歩で南小谷駅に戻ると、ちょうど14時5分発の糸魚川行の増便バスが到着するところであった。しかし、14時5分になってもバスはなかなか来ず、5分ほど遅れた14時10分頃になってようやく南小谷駅へとやってきた。糸魚川行の増便バスは、窓側の座席が程よく埋まる程度の乗車状況で、ぱっと見たところ10名以上が乗車しているようだった。白馬駅からやってきたバスは南小谷駅で1名が降り、南小谷駅からは1名を乗せ糸魚川に向け発車していった。

南小谷―糸魚川間の鉄道もインバウンド客で混雑

 筆者は、大糸線に乗り通すことを目的に来訪しているので、この増便バスには乗らずに、14時43分発の糸魚川行の普通列車に乗車することにした。なお、南小谷―糸魚川間の所要時間は、増便バスが時刻表上では1時間5分であるのに対して、大糸線は1時間前後で結んでいる。筆者が乗車する糸魚川行の普通列車は、折り返しとなるキハ120形1両編成の列車が14時25分に糸魚川駅から到着。車内からは大型のスーツケースなどを持った20名以上の観光客が下車し、大半が白馬方面の普通列車へと乗り継いでいった。乗客の会話を聞いたところ、中国語を話しており、北陸新幹線で糸魚川駅までやってきて、そこから白馬方面に向かうために大糸線に乗り換えたインバウンド観光客と思われた。

糸魚川から到着した1両編成の列車からは多くの乗客が下車(筆者撮影)
糸魚川から到着した1両編成の列車からは多くの乗客が下車(筆者撮影)

 14時43分に南小谷駅を発車する糸魚川行には、大型のスーツケースを持った中国系のインバウンド観光客5名と筆者のみが乗車していたが、ほとんどの区間を姫川沿いの渓谷に沿って走る風光明媚な区間で、雪の降る冬の季節は、車窓から水墨画のような景色を楽しむことができる。こうした水墨画のような車窓風景は、それだけでも観光客を引き寄せる大きな観光資源となりうることから、こうした大糸線の利点をもっとPRし、北陸新幹線の糸魚川駅から大糸線を介して南小谷や白馬に観光客を呼び込む動線を作ることができれば、地域振興に十分に貢献できる路線となりうるのではないだろうか。

水墨画のような車窓風景(筆者撮影)
水墨画のような車窓風景(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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