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ロシアでは大人の6割近くが使用…新興国のソーシャルメディア事情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
新興国にも浸透が進むソーシャルメディア。世界情勢を手に取るように掌握可能

ネット利用が可能になるとソーシャルメディアに飛びつく

インターネットを用いるインフラの整備と、機動力の高いミニパソコンともいえるスマートフォンの浸透に連れて、飛躍的に利用者が増加したウェブ系サービスの代表格がソーシャルメディア。情報の相互交換により意志疎通は加速され、さまざまな社会現象を生み出している。その浸透ぶりは先進国だけに留まらず、新興国においても目を見張るものがある。

アメリカの大手調査機関Pew Research Centerが2014年2月に発表した、新興国24か国の18歳以上の住民に対面調査方式で実施した調査結果レポート「Emerging Nations Embrace Internet, Mobile Technology」を基に、その実情を探る。

同レポートではインターネット利用者、そしてそのネット利用者におけるソーシャルメディア利用者の調査結果が記されている。この2計測値から、18歳以上全体に占めるソーシャルメディア利用率が算出できる。なお今件のソーシャルメディアはツイッターやFacebookなどに限らず、回答者国で用いられているソーシャルメディア全般を意味する。例えば日本ならmixi、ロシアならVKontakte(フコンタクチェ)、中国なら人人網(レンレンワァン)も該当する。

↑ ソーシャルメディアを使っている(概算)(2013年3月~5月)
↑ ソーシャルメディアを使っている(概算)(2013年3月~5月)

スマートフォン、あるいはパソコンなどのインターネット環境の普及状況で左右されるところが大きく、利用率にはかなりの違いが見受けられる。上位国では5割前後に達しているが、(登場している国の)下位国では2割程度でしかない。それでも人口を多く有するこれらの国々で、少なからぬ人たちがソーシャルメディアを利用している実情がうかがえる。

もっとも多い国はロシアで57%、次いでアルゼンチン、チリ、ベネズエラ、レバノン。ここまでが「大人の4割以上がソーシャルメディア利用者」の国。エジプトやマレーシアなども高めの値を示している。

ソーシャルメディアを利用するためには、インターネットへのアクセス環境が必要だが、概して大人のインターネット利用率とソーシャルメディア利用率は近しい値を示す。つまりネットを利用する人の大半はソーシャルメディアも利用してしまうというもの。次のグラフは実態としてのインターネット利用者率を示したのだが、上位国はほぼソーシャルメディア利用率上位と連動している。

↑ スマホ保有かネットを時々以上使う人(2013年3月-5月)
↑ スマホ保有かネットを時々以上使う人(2013年3月-5月)

レポートでは「新興国においては一度ネットにアクセスできる環境を持つと、多くの人がソーシャルメディアに飛び付き、情報交換や写真の掲載をするようになる」と解説している。このグラフの結果を見れば、理解はできるというものだ。

ネット環境を持つと毎日使いたくなる心情

ソーシャルメディアをはじめ、多種多様なサービスを利用可能なインターネット環境を持つと、当然高頻度でアクセスをしたくなる。次のグラフはネット利用者に占める、毎日何らかの形でインターネットを使っている人の割合。

↑ インターネットを毎日使っている(スマホ所有者か時々以上ネットを使っている人限定)(2013年3月-5月)
↑ インターネットを毎日使っている(スマホ所有者か時々以上ネットを使っている人限定)(2013年3月-5月)

多い国ではネット利用者の8割から9割もの人が、毎日インターネットにアクセスしている。日常生活に浸透しているのは間違いなく、上記グラフとも合わせて考えると、多分にソーシャルメディアの利用に費やしていることは容易に想像できる。またセネガル、フィリピン、ボリビアではやや低い値を示しているものの、それ以外の国では過半数の人が「日々アクセス者」であることも分かる。新興国でもネットの魅力に取りつかれる人は多いようだ。

上位国には中東諸国が多く顔を見せている。いわゆる「ジャスミン革命」において主に舞台となった地中海沿岸諸国で、携帯電話、特にスマートフォンが急速に普及し、ソーシャルメディアやSMSなどが多用された状況が容易に想像できるというものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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