2017センバツ、21世紀枠最終候補決定。"清宮世代"の主役候補 その1
北海道では札幌第一、東北では仙台育英と、いずれも秋季地区大会優勝校の出場は確定。東北の2校目は、盛岡大付でほぼ間違いない。で注目は、仙台育英の西巻賢二内野手だ。167センチと小柄ながら、斬り込み隊長、抑え投手、主将と、強豪の三役を担う。
驚いたのは、神宮大会の初戦だ。履正社に4点差をつけられた9回表にマウンドに立つと一、二番を連続三振。球速は139キロを計時した。噂のスラッガー・安田尚憲には四球を与えたが、四番の若林将平を右飛に打ち取る完璧な投球だった。
とにかく、センスの塊だ。昨夏の甲子園、1年でベンチ入りした準優勝メンバー。東北大会では17打数7安打2打点と気を吐き、二度の登板も2回を無失点。遊撃の守備も安定していて、「2学年上の平沢(大河・現ロッテ)が西巻のプレーを手本にしていた」(佐々木順一朗監督)くらいだ。
福島・小名浜少年野球教室では、震災のあった11年の全国大会に出場。楽天ジュニアにも選ばれた。秀光中に進むと、主将として全中優勝を経験し、高校進学時には、
「一緒に育英に行って、東北初の日本一になろう」
と楽天ジュニアのチームメイトだった現エース・長谷川拓帆、現三番・佐川光明に声をかけた。また、秀光中の優勝メンバーもほかに7人。これをまとめるのが、「大人から見ても、人間力が素晴らしい」(佐々木監督)という西巻のキャプテンシーだ。
1年夏の甲子園では5打数1安打も、その1本は東海大相模との決勝で小笠原慎之介(現中日)から放ったもの。準決勝で破った早稲田実の同学年・清宮幸太郎とは連絡先を交換し、この秋はお互いの地区大会優勝をLINEで祝福し合ったという。
清宮を超えた? 野村大樹
その早稲田実も、東京を制してセンバツ出場は確実で、15年夏のような清宮フィーバーが起こりそうだが、ここでは三番・清宮のあとを打つ1年生四番・野村大樹を採り上げたい。
「清宮さんを超えたいな、と思っていました」
神宮大会準決勝の、福岡大大濠戦だ。7回の第4打席で、内角ストレートを左中間に運ぶ2ランホームラン。清宮が1年秋までに放った22本を超える、高校通算23号だった。中学時代はおもに捕手だったせいか、「ベンチから相手の配球を見るのが好き。1打席目はスライダーを打ったので、くるな、と直感した」ストレートを狙い打った。
決勝は履正社に敗れて準優勝に終わったが、3試合で打率・556、6打点と、四番として文句のつけようがない活躍だ。そういえば東京大会決勝の日大三戦で、サヨナラ3ランを放ったのもこの野村。
「あの人(清宮)のあとを打つのは、すごいプレッシャーでした。歩かされることも多いんで……ただ夏、そして新チームと経験し、だいぶ慣れましたけど」
事実大濠戦では、清宮が4四死球。そこで、初戦を完封した好投手・三浦銀二から3本の適時打で4打点の大活躍だから、夏から務める四番の重責もいまは心地いいくらいだろう。身長は172センチながら、体重80キロとがっちりした体格で、飛ばすことなら清宮にもヒケをとらない。大阪福島シニア時代は、U15日本代表。チームメイトの何人かが出場した神宮大会で、ひときわ輝いた。
関東・東京ではほかに関東大会優勝の作新学院、準優勝の東海大市原望洋、ベスト4の前橋育英、健大高崎の出場が確定的。6校目は関東大会ベスト8の慶応と、東京準優勝でスラッガー・金成麗生を擁する日大三の比較になるが、09年以来センバツ史上2度目の早慶そろい踏みというインパクトから、慶応が有力と見た。