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グーグル、インド事業を大幅に拡大 鉄道駅の無料Wi-Fiや気球を使ったインターネット接続など

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
インドで開催したカンファレンスで講演するグーグルのスンダー・ピチャイCEO(写真:ロイター/アフロ)

海外メディアの報道によると、米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は12月16日にインドのニューデリーで開催したカンファレンスで、同社のインドにおける事業について進展状況などを語ったという。

ピチャイ氏はインド出身で、今年グーグルの組織再編に伴いCEOに就任したばかり。そのピチャイ氏が同社のCEOとしてインドを公式訪問したのはこれが初めてという。

鉄道駅の無料Wi-Fi、1月に開始へ

これに先立ちグーグルは、インドの鉄道駅に公衆Wi-Fi(無線LAN)を設置するというプロジェクトを発表していた。

これはインド国民のデジタル化を推進するナレンドラ・モディ首相の構想「デジタル・インディア 」に沿った計画で、インドの400に上る駅で無料のWi-Fiサービスを提供するというもの。

ピチャイCEOの説明によると、この計画は順調に進んでおり、来年の年末までに100駅でサービスを開始できる見込みという。

その第1弾となるのは、西海岸のムンバイセントラル駅。同駅では来年1月にもWi-Fiサービスが始まると、同氏は説明した。

気球を使ったネット接続、インドにも

このほか同氏は、グーグルの親会社、アルファベット(Alphabet)が進めている「プロジェクト・ルーン(Project Loon)」と呼ぶ、気球を使ったインターネット接続環境構築プロジェクトについても説明している。

こちらは、複数の気球を18キロ〜20キロメートル上空の成層圏に漂わせ、そこから地上に電波を発信し、インターネット接続を提供するというもの。気球は風力と太陽光を動力として利用するのだという。

米ウォールストリート・ジャーナルによるとアルファベットは今年10月、このプロジェクトの実験を来年インドネシアの通信事業者と行うことを明らかにしている。

だが、グーグルはこの計画をインドでも展開したいようだ。米フォーブスによると、ピチャイCEOは今回、「プロジェクトはやがて実験段階から移行し、インドの30万に上る農村にインターネットを提供できるようになる」と述べたという。

先頃、インドの業界団体、インターネット&モバイル協会(IAMAI)と市場調査会社IMRBインターナショナルが公表したリポートによると、インドのインターネット利用者数は、まもなく4億人の大台を突破し、同国は中国に次ぐ世界2番目のネット大国になる見通し。

だがインドでは依然10億人近くがインターネットにアクセスできない状況とも言われている。グーグルはそうした人々に検索や電子メール、YouTubeなどの同社サービスを使ってもらいたい考えだと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

インドに新たな巨大社屋建設へ

今回のピチャイCEOのインド訪問については、地元紙のジ・インディアン・エクスプレスも伝えている。

これによると、ピチャイCEOはインド南部の都市、ハイデラバードに新たに巨大な社屋を建設する計画も明らかにした。同社はさらに多くの現地従業員を雇い、事業開発を進めるという。

このほか同氏は、バンガロールにある研究開発施設を拡大し、エンジニアの雇用を増やすという計画も明らかにしたと伝えられている。

JBpress:2015年12月18日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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