婚活の罠。「ピンと来ない相手ばかり紹介される」のはなぜなのか?
恋人や結婚相手はほしいけれど、友人知人に紹介してもらってもピンと来ない。断ると申し訳ない気がして、最近は紹介されることも避けている――。30代も半ばを過ぎると同世代の独身者が急激に減っていく。焦って誰かを紹介してもらっても、「悪い人ではないけれど付き合いたいとは思えない。無理をするぐらいなら一人でいたほうがマシ」という結論に至ることばかり。どうしたらいいのだろうか。
筆者は個人的に「お見合いおじさん」活動を続けていることもあり、多くの独身男女と面談を繰り返している。できれば「ぴったりの相手」を探して紹介してあげたい。そのために「どんな人がタイプなのか」という定番の質問を投げかけることになる。
しかし、「それなら見つかるかも!」とこちらがググッとやる気になる答えが返ってくることはめったにない。「一緒にいて居心地のいい人」というボンヤリ回答か、「子どもが欲しいので34歳以下。檀蜜みたいな外見が好み」というアリキタリ回答のどちらかが大多数である。前者は女性に多く、後者は男性に多い。
自分自身のスペック(外見、年齢、収入、学歴、勤務先、家族など)に競争力がある場合は、数万人もの会員数を誇る大手の結婚相談所に登録してお見合いをしまくることが早道だと思う。選び放題なので、「25人目の人とは初めてリラックスして会話ができるのでお付き合いにようやく発展」などという殿さま商売ができる。
ただし、たいていの人は平凡なスペックしか持たず、結婚相談所に入っても「ピンと来ない人ばかり紹介される。たまに好みの人と出会えても断られる」という状況に陥る。時間とお金の無駄だ。
紹介する側から言わせてもらうと、「どんな人が好みなのか」というこちらの質問への回答を「具体的な欲求」が感じられるものにしてほしい。筆者の女友だちは「3つの相性が合う男性がいい。食の相性、笑いの相性、体の相性」と公言して飲みの席での笑いを誘い、数年後には同級生のバツイチ男性と結婚した。あながち冗談ではなく、食事と会話とセックスは男女関係においては大事な要素ばかりだ。
周囲の印象に残りやすい「好みのタイプ」を言語化するコツは、上述の例のように「体の相性」といった露骨な要求を入れることだ。できれば、世間的にはネガティブに受け止められる要素だと面白いし、競争相手が激減する。
男性で言えば、高学歴(高職歴)や高身長の女性を好んでいる場合、それを公表すると有利になる。「女性の年齢はあまり気にしない。年上でもいい」場合はさらに強力だ。
女性の場合は、太っていたりハゲていたりする男性に積極的な評価を与えることができれば存在が際立つ。いわゆるイケメンが好きな場合も、「映画『テルマエ・ロマエ』の俳優陣ぐらいに顔が濃い男性が好き」ぐらいに具体化するべきだ。
この「好みの言語化」作業は、今までの人生経験を通して自分自身をどれだけ客観的に見つめられているかが問われる。世間的な評価(昔で言う「三高」など)と適切な距離を取る知性と勇気、と言い換えてもいい。背が低い男性を「かわいい」と自分が思うならそれでいいじゃないか。婚活の「志望動機」はオリジナリティが勝負なのだ。