【自民党と統一教会】そのとき教祖は言った 「自分たちは党の黒幕」「首脳部、顧問になっている」
連日報じられる「自民党と統一教会の関係」。8日に党から発表された「自己点検」の結果が物議を醸している。「漏れ」「正直者が馬鹿を見ている」が多いと。
ここではもう一つの視点を。「いかに歴史的に深い関係があったのか」。厳密に言うと「深い関係があったと教団側が主張しているのか」。歴史を振り返っても、多くの教団側の証言が出てくるのだ。
それも、文鮮明氏の言葉として多くの記録が残っている。
氏の語録集「文鮮明先生みことば選集」韓国語版125巻によれば、1983年に韓国で「共産党を防御するための日本での活動」というお題で話をしている。1983年3月31日木曜日、韓国の慶尚南道昌原(チャンウォン)市の東洋機械という会社での講演だ。
ここでは9日に筆者が翻訳紹介した「自民党による1985年のスパイ活動防止法案提出」についての話が、別の切り口で語られている。いかに統一教会の影響を与えて自民党が動いた、と教祖が主張しているのか。どんな語り口で「韓国で自民党との関係を誇らしげに話している」のか。この日は外部(韓国の地方機械製造会社)での講演ということで、やや「飛ばした感」は抑えられているが。
- 当時と比較的時期の近い1990年当時の講演の様子。参考までに
「自民党に提出させた」法案
話は前章の「共産党がいかに危険か」という世界情勢に続き、日本の話へと展開されていく。
今まで私がやってきたことは何なのか? 日本の自民党内でかなりの基盤を作り上げてきたということです。ここにいる皆さんは知りませんが(この2年後、1985年に日本で提出される)スパイ(活動防止)法案に対する…
語録集ではここで教祖が少し話を切り替える点までが細かく記されている。日本でのスパイ活動防止法案提出を、ソ連が邪魔しているのだと。
日本でKGB(ソ連国家保安委員会)たちが地下運動をしていることがはっきりとしているんですよ。我々は(日本で)勝共運動をやっているために、そういった世界的な組織をよく知っています。
こいつらに、(日本の)すべての部署が浸透されているのです。それゆえこれはいつかは爆発するものだったのです。自衛隊の将軍級で爆発することとなり、日本政府の各官僚級でも爆発する時が来る。だから日本が一呼吸置くためにスパイ法案を(日本の国会で通過させようとしたのです)…スパイ法案といえば韓国政府もその対象になりえます。
「爆発」とは「日本の"各部署"の人物がソ連のスパイの手先になること」だ。話は教祖による「自慢話」を交えつつ「スパイ活動防止法」の話にも続いていく。
しかし韓国にとってはこれは問題ではありません。これはソ連を除去できるかどうかの問題なのです。だから今まで7年前に私がスパイ法案を、東京にいる岡田という弁護士協会会長に指示して…このひとは民主帝国主義時代に金日成を捕まえるために選抜隊として(現地に)行った人です。
この人が言うには、自分が韓国に犯した罪が大きい。文先生に会ったら、贖罪の意味から「先生(文鮮明氏自身)の言うことには何でも協力する」ということです。だからこの弁護士会会長に指示して、5年間かけて(自民党を通じて日本の国会に提出する)スパイ法案を作り上げたのです。
その後、イギリス、フランス、イタリアなど法曹界の専門家に指示してスパイ法案を作って国会を通そうとするための行楽をやってみました。(各国で)全国的な要員と愛国者たちが協力し、地方から組織を編成して27万人を動員してスパイ法案を通過させるための支持要員をすべて抱き込んだのです。
時は1983年、のちの日本国会でのスパイ活動防止法案提出の2年前だ。この折に上記の「日本でのKGB活動の発覚」という出来事があった。
で、そうした折に自衛隊に勤務する将軍ひとりがKGBの手先となっていたことが発覚し、日本の軍関係者の間で問題となりました。先日も日本政府の一要員がKGBの手先となったことが発覚しました。以降、日本の官民双方でこれらが問題となり、大きな騒ぎとなりました。だから今、日本でスパイ法案を通さなくてはならないのです。こういった時のために、その組織を完全に勝共連合の方に展開させているのです。だから今回はこれを基盤に300万の勝共連合員確保運動を展開しようとしています。
【参考記事(当時の「レフチェンコ事件」にも言及)】「切り取ってロシアに渡せば…」ウクライナ情勢が緊迫するなか、日本で過熱する“親ロシア発言”
「レフチェンコ事件」に学ぶ、ソ連時代から続くロシアの“偽情報工作” 石動 竜仁氏
世界平和教授アカデミーを通じ「日本の首脳部、顧問の立場としてすべてをリード」
話はさらに、統一教会と自民党との関係性に切り込んでいく。
じゃあそれでは、こんなことをなぜ(私が)するのか、ということです。日本は現在、中曽根を中心に据え、軍事産業を拡大しなければならない状況になっています。
皆さんが知らないうちに、最近中曽根は韓国を訪問して、アメリカを訪問していたのですが、自民党の背後勢力は我々(統一教会)のアカデミー(世界平和教授アカデミー)――この点を皆さんはよくご存知ないでしょう。会員2700名で、(各分野の)教授たちが私達の組織に入っています。この人達を通じれ、何のことはない、その国の首脳部、顧問の立場としてすべてをリードしているのです。
こういった基盤を作り上げ、(私は)自民党とアメリカを繋げようとしています。自民党の最大の問題は何かというと、共産党です。その共産党を叩きのめす行楽は誰がしたのか? 私です。先頭に立って。東京の美濃部市長(亮吉都知事)から京都の市長、名古屋の市長、大阪市長まで全国180の(革新系の)市長がすべてクビになりました。
世界平和教授アカデミーとは、1974年に東京で設立された教団関連団体だ。教祖はここを通じて「日本の高位関係者」と繋がり、一方で「勝共連合」を通じて日本の共産党とやりあっている。これが自民党にも感謝されている、としている。
今や、反共や勝共において文鮮明師(※)を外して考えられなくなりました。これを私は、自他が認める実績として持っているのです。問題は(日本共産党が)大学の学生街を基地にして労働組合を動かしていることです。労働組合を中心にしてデモをしています。(アカデミーの)学者たちは「デモをすれば問題となり、学生たちは捕まります。しかしまた違う学生が出てくるのです」と言います。
こうやって共産党が社会を代表し、労働組合を中心に据えて太鼓を鳴らし、怒っています。このような環境を通じて共産国家を作ろうとしているのです。これは共産主義の常套手段です。このようなことを知るために、(統一教会側も)大学を中心に行動をしています。知っているからこそ、大学で学生を中心にして共産主義の防御問題をもって決闘を繰り広げているのです。
※講演では自らを「師」と呼んでいる
かなり「強気」で自民党との関係の深みを口にしている。全600巻を超える語録集には、こういった証言がまだまだ出てきそうだ。