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イベントでの声出し続々解禁、しかし未だ感染拡大の影響も?コロナとアニメ界隈の今

小新井涼アニメウォッチャー
(写真:アフロ)

先月末に発表された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」での改訂を受け、スポーツの試合やライブ・コンサートにおける声出し解禁のニュースが相次いでいます。

今年5月に向け、徐々にこうした制限の緩和も行われる一方、未だ各所で感染による影響もみられる昨今。このような状況の中、アニメ界隈では現在どのような動きがみられるのでしょうか。

■アニメ関連でも声出し解禁の動き

今回の制限緩和以降、アニメ関連のイベントやライブでも、声出し解禁のニュースが相次ぎました。

「ラブライブ!」シリーズ「アイドルマスター」シリーズ、「BanG Dream!」といった、ライブイベントが活発な作品での声出し解禁をはじめ、上映中に声援やサイリウムの使用が可能な特別興行である応援上映でも、長らく制限されていた発声が解禁※され、声出しOKの上映イベントが実施される予定です。

コロナの感染拡大以降、徐々にアニメ関連のリアルイベントが開催されるようになってきても、長らく制限され続けてきた声出し。

制限下では、声を出せないライブでも出演者に声援を届けるために、自らの声を事前に録音してライブ会場で歓声として流せる応援グッズが誕生したり、声出し可能なオンラインシステムや、声の代わりに鳴り物等を使った応援上映も誕生してきました。

こうした、制限のある中でも目一杯楽しませよう・楽しもうという想いの下生まれたリアルイベントの新たな楽しみ方も、決してコロナ禍だけの単なる代替行為で終わることなく、そのノウハウは声出し解禁後も様々な場面で活かされていくことでしょう。

そんな数年を過ごしてきた上で今回ようやく解禁される声出しのニュースには、未だ決して少なくない感染者数から不安もつきまとうものの、やはり様々な作品のファンから喜びの声があがりました。

■未だ感染拡大の大きな影響も

こうした明るいニュースも相次ぐ一方で、制作サイドでは未だ大きな感染拡大の影響もみられています。

アニメの制作においては、特に最近になって感染拡大による放送延期がまたも目立ち始めてきました。

この1月からスタートした作品でも、「UniteUp!」や「NieR:Automata Ver1.1a」、「あやかしトライアングル」や「久保さんは僕を許さない」、「魔王学院の不適合者Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」などが、先月末から感染拡大による影響での放送延期を相次いで発表しているほか、4月から放送予定であった「白聖女と黒牧師」が、やはり感染拡大による影響で放送を7月に変更するなど、既に春アニメにも影響が出始めています。

こうした感染拡大による放送延期については、特に昨年春ごろからもちらほらみられたことではありましたが、ここに来て影響を受ける本数が一気に増えてきている印象です。

また、アニメやゲーム、漫画等の作品を題材とした2.5次元舞台の制作現場においても、先月は舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters’ Story~や「風都探偵 The STAGE」などで、関係者の体調不良等による中止は未だ生じ続けています。

イベント等の限られた時間のみの参加となる観客側の制限は徐々に緩和されてきていますが、一方で、やはり連日の共同作業を要する関係者側への感染拡大の影響は未だ大きいことが窺える状況です。

リアルイベントの開催復活や制限緩和は喜ばしいことですが、その大元となる作品づくりやイベント作りに関わる人々の健康あってのことでもあるので、そちらへの影響が無くならない限りは、参加者側もまだまだ現状を完全に楽観視できる状況ではありません。

これから年度末にかけても、AnimeJapanをはじめとするイベントやライブが数多く控える今、ようやく解禁された声出し開催が今後も継続していけるのかも含め、特に今月来月の感染状況やその影響には、改めて注意していく必要がありそうです。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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