感染第7波がもたらしたアニメへの影響、再び目立ちだした延期作品増加への反響と今後への影響
夏休みシーズンにも直撃した感染第7波の影響により、ライブや舞台といったリアルイベント等を筆頭に、中止や延期のアナウンスが目立つ昨今。アニメの放送や劇場公開に関しても、徐々に通常通りのリリースが行われるようになってきていた中で、再び感染拡大によるスケジュールの変更が相次いでいます。
長引くコロナ禍への世間の順応もあってか、以前ほどは頻繁に取り上げられることがなく見逃されがちではありますが、それでも決して少なくない数の作品が影響を受けている状況です。
こうした現状を受けての人々の反響や、今後のアニメリリースに与え得る影響には、どのようなものがあるのでしょうか。
■延期/中止の再増加
感染拡大による放送や公開への影響が、特に再び目立ちはじめてきたのは、今年の春クールからのことでした。
注目を集めたところでは、4月から放送されていた「可愛いだけじゃない式守さん」の放送スケジュール変更が挙げられます。本作の制作にあたっていたアニメ制作会社内において、感染者急増によりスタジオが一時封鎖されたことによる放送スケジュールの変更を経て、結果的に夏クール突入後まで放送期間が延長されることとなりました。
その後も、世間が本格的に感染第7波を迎えた夏クールからは、徐々に他の作品でも延期や中止のアナウンスが増えてきています。
7月から放送されている「異世界おじさん」では、関係各所における感染者急増を受け、8月に2週分の再放送を経て放送を再開させていましたが、その後も感染拡大が止まらず、9月中の放送は全て再放送となることが発表されました。
同じく今期放送中の「ラブライブ!スーパースター!! 」においても、感染拡大の影響による制作スケジュールの変更を受け、昨日4日に放送予定であった第8話が1週間放送延期されています。
また、劇場版作品に関しても、今月10日に公開を予定していた「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」が、やはり全国的な感染拡大による制作遅延のため公開を延期。併せて先月予定されていた完成披露上映会も中止となりました。
放送や劇場公開の他に、作品関連イベントへの影響も目立っています。
7月9日には、翌日開催を予定していた「王様ランキング」のイベントが、出演者の相次ぐ感染により中止となり、その事実はもちろん、開催前日のアナウンスというあまりの急を要した事態に、ニュースを目にした人々にも衝撃が走りました。
■反響と今後への影響
こうして昨今、再び目立ちだした延期や中止の報ですが、対する作品を待つファンの反応としては、ショックではあるものの、なにより関係者の安全が一番であると、感染が落ち着き、作品が無事に届けられるのを待つという労りの声が多いようです。
特に本年度に入ってからは作品関連だけでなく、キャスト個人の感染報告等も頻発していたため、どちらかというと感染拡大防止の意味合いが強かった2020年当時の延期や中止と比べて、実際の感染が相次いでしまっている現状に、関係者への心配の意識がより強くなっているのもあるのでしょう。
一方で、スケジュール変更によって生じる作品展開へのネガティブな影響は、やはりどうしても避けられないものとして生じてしまいそうです。
実際に、放送予定期間を過ぎて最終回を迎える作品が出てくることで、その後に放送を控える作品のリリースにも多少なりとも影響が出てしまうでしょうし、公開の延期によってリリースに伴うイベントや関連展開が中止や延期になれば、ただでさえ対応に追われる現場への負担が増してしまうことも想像に難くありません。
そもそも、今回こうして延期や中止が再び目立ち始めたことで改めて認識できてはいますが、コロナ禍以降、特にリリーススケジュールに大きな影響を受けていた2020年からこちら、徐々に放送や劇場公開も通常通り行われるようになってきたとはいえ、当時のスケジュール変更はその後も玉突き的にその後の作品に影響をもたらしますので、水面下ではコロナによる延期や中止の影響は常に抱えられてきたのでしょう。
放送や公開中だけでなく、企画自体は年単位で動いているアニメの展開において、コロナによる影響は一時的な感染状況の落ち着きによって完全に消えることはなく、たとえ今回のように表面化はされずとも、今後も数年以上に渡り、影響を及ぼし続けていくことが窺えます。