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ヤンキースが手に入れた一塁手が、フリーマンでもオルソンでもなく、リゾーだった理由

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・リゾー(ニューヨーク・ヤンキース)Sep 19, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースは、2年3200万ドルの契約で、アンソニー・リゾーを呼び戻した。リゾーは、昨年の夏にシカゴ・カブスからヤンキースへ移り、シーズン終了後にFAとなった。

 今オフのFA市場には、リゾーと同じ一塁手のフレディ・フリーマンも出ていた。こちらは、6年1億6200万ドルの契約で、ロサンゼルス・ドジャースに迎えられた。契約の合意が報じられたのは、リゾーのほうが少し早かった。

 2人とも、今シーズンの年齢(6月30日時点)は32歳。左打者ということも共通する。ヤンキースは、フリーマンを手に入れようとしていたらしい。ただ、MLBネットワークのジョン・ヘイマンによると、フリーマンがヤンキースとの契約に乗り気ではなかったという。

 通算本塁打は、フリーマンが271本、リゾーは251本だ。二塁打は、367本と291本。出塁率とOPSも、フリーマンがリゾーを凌ぐ。それぞれの出塁率は.384と.369、OPSは.893と.850だ。直近3シーズンのトータルの場合、その差はさらに広がる。

 ヤンキースにとって、リゾーは「プランB」、あるいは「プランC」だったのかもしれない。

 フリーマンがそれまで在籍していたアトランタ・ブレーブスは、オークランド・アスレティックスからマット・オルソンを獲得し、直後に8年1億6800万ドルの延長契約を交わした(「この選手ならファンも納得!? フランチャイズ・プレーヤーの定位置だった一塁を守るのは…」)。

 フリーマンとリゾーの2人と同じく、オルソンも左打ちの一塁手だ。直近3シーズンの出塁率.354は、3人のなかで最も低いが、89本塁打は最も多い。OPS.876と二塁打65本は、フリーマンには及ばないものの、リゾーを上回る。年齢は28歳。2人よりも4歳若い。

 ヤンキースは、フリーマンのトレードについて、ロックアウト前にアスレティックスと話し合ったようだ。SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノによると、アンソニー・ボルプオズワルド・ペラザを交換要員とすることを、ヤンキースが断ったという。この2人は、どちらもトップ・プロスペクトの遊撃手だ。

 昨夏の移籍後、リゾーは49試合に出場し、8本のホームランと7本の二塁打を打ち、出塁率.340とOPS.768を記録した。これまでの成績からすると、やや低めの数値だが、サンプル数は50試合に満たない。フリーマンやオルソンが入団した場合と違い、すでにヤンキースでプレーしたことがあるのは、今シーズンのプラス材料になるかもしれない。

 リゾーの年俸は、2022年も2023年も1600万ドルだ。来シーズンの終了後に、リゾーはオプト・アウトする(契約を途中で打ち切ってFAになる)ことができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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