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ブレイクした若手をセンターに擁する球団が、秋山翔吾に興味を示しているのはなぜ?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Jul 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「日本人のセンター、ショウゴ・アキヤマはダイヤモンドバックスにフィットするかもしれない」11月12日、アリゾナ・リパブリックのニック・ピコーロは、こんなタイトルの記事を発表した。

 一見すると、アリゾナ・ダイヤモンドバックスが、センターを守れる外野手を加える必要は、ないように思える。

 今シーズンは、ケテル・マーテイジャロッド・ダイソンの2人が、センターのポジションを分け合った。ダイソンはFAになったが、マーテイは5年2400万ドルの契約2年目が終わったところだ。昨シーズンの14本塁打&OPS.768から、今シーズンは32本塁打&OPS.981とブレイク。MVP投票では4位に入った。マーテイは守備も優れ、年齢は若い。10月に26歳の誕生日を迎えたばかりだ。

 にもかかわらず、ダイヤモンドバックスは、秋山翔吾に興味を示しているという。

 もともと、マーテイはミドル・インフィルダーだった。2017年までは主に遊撃手としてプレーし、2018年は二塁を定位置とした。センターへ移ったのは、昨オフにA.J.ポロックがFAとなり、ロサンゼルス・ドジャースへ去ったためだ。今シーズン、マーテイの先発出場は、センターが89試合、二塁が45試合、遊撃は5試合だった。

 一方、今シーズンのダイヤモンドバックスでは、マーテイを含む4人が、二塁手としてそれぞれ25試合以上に先発出場した。そのうち、ウィルマー・フローレスは球団オプションを却下されてFAに。他の2人は球団に残っているが、イルデマーロ・バーガスは控えのユーティリティに過ぎず、エデュアルド・エスコバーは正三塁手だ。

 センターに秋山を加えれば、マーテイを二塁に戻して固定できる。

 今オフのFA市場に、レギュラーとしてセンターを守れそうな外野手は、ほとんど見当たらない。ブレット・ガードナーは数少ない一人だが、ニューヨーク・ヤンキースと再契約を交わす可能性が高そうだ。ダイソンのシーズン本塁打は2019年の7本が最も多く、OPS.700以上も2016年(.728)の1度しかない。マーセル・オズーナがセンターを守っていたのは、2016年までだ。

 また、秋山はメジャーリーグでプレーしたことがなく、来年4月に32歳を迎える。契約はそれほど高額にならないだろう。ダイヤモンドバックスに限ったことではないが、仮に期待外れに終わったとしても、金銭的な損失はそう大きくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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