Yahoo!ニュース

最後まで対戦相手が決まらなかったチームは? 選手宣誓に困惑した主将が話したこと センバツ抽選会ウラ話

森本栄浩毎日放送アナウンサー
抽選会前日に集結した主将たち。この中に開会式で選手宣誓する主将が!(筆者撮影)

 18日に開幕するセンバツ高校野球は先週、抽選会が終わり、対戦相手が決まった。目標がはっきりし、ここから一気に本番モードへと突入していく。

5年ぶりの「キャプテントーク」で驚いたこと

 抽選会の前日、32校の主将たちが来阪し、恒例の「センバツキャプテントーク」(タイトル写真=以下トーク)が開かれた。恒例と言っても、コロナ禍で4年間は中止になっていたので、5年ぶりの復活である。久しぶりの開催で驚いたのが、生徒たちの髪型で、ここに写っているだけでも3人が「丸刈り」ではない。一時、丸刈りが復権したように思ったが、昨夏は髪型自由の慶応(神奈川)が優勝して、「脱丸刈り」の流れが加速するような気がする。

抽選は出場校の多い地区から

 さて、抽選会は大きな混乱もなく終了し、無事にカードが決まった。センバツは夏と違って再抽選がないので、先を見据えた戦い方も上位を狙う上では重要になってくる。展望については後日、出稿するとして、抽選会を担当して感じたことをいくつか述べてみたい。抽選は出場校の多い地区から行う。今回で言えば、近畿(7)、関東・東京(6)、九州(4)の順で、3校の東北、東海、北信越を一括で。また2校の北海道、中国、四国も一括で行った。

大阪桐蔭と報徳が同じブロックに

 近畿と関東・東京は少なくとも準々決勝まで、九州、東北、東海、北信越については準決勝まで、北海道、中国、四国は決勝まで当たらないようにするため、本抽選前に8分割(イ~チ)、4分割(A~D)、2分割(X、Y)に分ける。また同一県2校出場については、決勝まで当たらないように配慮するため、地区の中でも最初に抽選する。今回は近畿で京都と和歌山が2校出場だったため、予備抽選番号(前日に決定済み)順に、和歌山、京都を前半に出場するXブロック、後半のYブロックに分け、残る3校をX、Yに振り分けた。近畿で実力双璧とみられる大阪桐蔭報徳学園(兵庫)が同じYを引いたため、後半ブロックに強豪が入る下地ができた次第だ。ちなみに両校は、勝ち進めば準々決勝で当たる。

54歳の監督がサウナに集結

 近畿の抽選が終了した時点でまだ対戦は決まらないが、関東・東京が引けば、カードの決まる可能性がある。最初に決まったのが3日目第2試合の山梨学院京都外大西の対戦で、両校監督は54歳の同い年。山梨学院の吉田洸二監督は「昨日、同い年の3人でサウナに入って情報交換した。上羽さん(功晃監督=外大西)に全部、バラした」の苦笑い。もう一人の「サウナ仲間」門馬敬治監督率いる創志学園(岡山)とも、次戦で対戦する可能性がある。

大阪桐蔭はいつも相手が決まらない

 次々とカードが決まっていく中、北海道、中国、四国の計6校が残った段階で、Yの4日目第2試合が全くの空白になっていた。Xのカードが埋まったあと、広陵(広島)と高知がここを埋め、最後に残ったのが大阪桐蔭の対戦相手。ここには北海(北海道)が入って、1回戦16カードが全て決まった。大阪桐蔭の西谷浩一監督(54)は「最近、うちの相手はなかなか決まらない」とこぼしていたが、毎年のように大阪桐蔭は待たされる。「できれば避けたい」と思われるチームの筆頭格に対しては、どのチームもうまく外している?ようだ。

選手宣誓希望者ゼロ

 さて抽選会では最後に、主将全員による抽選で選手宣誓を決める。封筒をそれぞれ一枚ずつ手にし、一斉に開封する。前日の「トーク」では「宣誓をやってみたい人」の挙手をお願いしているが、今回は初めて誰も手を上げなかった。20年以上、「トーク」の司会をやっているが、こんなことは初めて。以前は半数以上の手が挙がったこともあったが、最近は少ない。夏は希望者だけで抽選するが、春は有無を言わせず全員に可能性があるわけで、対戦相手が決まってホッとする間もなく、緊張が続くという次第だ。

思わず本音も飛び出した青森山田主将

 今回は青森山田橋場公祐主将(タイトル写真左から3人目)に決まった。青森勢の選手宣誓は春夏通じて初めてで、率いる兜森崇朗監督(44)は笑顔が絶えなかったが、当の本人は困惑気味。筆者の質問にも当初は「引きたくなかった」と本音を漏らしていたが、どういう言葉を盛り込みたいか尋ねると、「元日の震災があったので、日本中に勇気を与えられるような言葉を入れたい」と話した。

激励の拍手に包まれ、抽選会を締めくくる

 橋場君に状況を振り返ってもらった。周囲の主将たちが開けて、誰も決まっていなくて、「まさか」と思いながら封筒から紙を取り出したら「選手宣誓」とあって、びっくりしたそうだ。「なかなか手が挙がらないな」と思って見ていたので、合点がいった。橋場君には抽選会特番(関西ローカル)にも出てもらったが、そこでは「甲子園100年センバツ100年」のフレーズも追加されていた。ちなみに引き当てた紙は、「家宝にします」と笑顔で話していた。抽選会の締めくくりで、栄誉を担う主将にはステージに上がってもらうのが恒例だが、ホール全体が激励の拍手に包まれたことは言うまでもない。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

森本栄浩の最近の記事