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土星のリングはたった1億年後に消滅すると判明!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「土星のリングはたった1億年後に消失すると判明!?」というテーマで動画をお送りしていきます。

●美しい土星のリング

土星には、非常に巨大で美しいリング構造が存在しています。

こちらは土星探査機カッシーニが、そのリングを鮮明に写した画像です。

マイクロメートル(1mmの1000分の1)単位からメートル単位の無数の小さな粒子が集団になり土星の周りを回っています。

粒子のほとんどは氷の粒です。

土星のリングはいくつかの構造に分かれていて、内側からD,C,B,A,Fという風に名前が付けられています。

また、B環とA環の間にあるのは「カッシーニの間隙」と呼ばれる領域です。

カッシーニの間隙は1675年に、探査機の名前の由来ともなったフランスの天文学者カッシーニが発見しました。

地球から見ると暗いことで間隙と命名されていますが、実際にはしっかりとリング構造が存在しています。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

さらにこれらのリング構造よりも外側に、より希薄なリング構造が存在しています。

最も外側にあるE環は、土星の衛星エンケラドスから宇宙空間へ放出された氷の粒子が、主な構成物質であると知られています。

●土星のリングは消滅中!

実は土星のリングを構成する氷の粒子が土星の表面に降り注いでいることがわかっています。

つまり土星のリングは今この瞬間も消失しつつあるということになります。

探査機カッシーニは土星の赤道上に、リングを構成する粒子が落下していることを発見しました。

そしてさらにそれとは別のメカニズムによってもリングの粒子が土星に降り注いでいることがわかっています。

太陽光の紫外線などにより帯電したリングの粒子が、土星の磁力線に沿って南北の中緯度地域に落ちているそうです。

特に南半球への落下が顕著であることも判明しています。

土星の南北中緯度帯に集まった荷電粒子は、太陽光を受けると赤外線を放つそうです。

2011年にハワイのケック望遠鏡が行った観測では、この赤外線を観測することに成功しています。

この赤外線の観測データから、土星のリングを構成する粒子が土星の南北中緯度地域へ降り注ぐペースを求めることに成功しました。

実はリングを構成する粒子の南北中緯度帯への落下は、探査機ボイジャーが撮影した画像や観測データをもとに、1986年には既に提唱されていました。

当時求められた落下ペースと、2011年の赤外線観測の結果推定された落下ペースはよく一致していたそうです。

そのペースは非常に速いペースであるとされ、具体的には「30分でオリンピックサイズのプールを満たす」ことができ、「このメカニズムによる落下分だけでも土星のリングは3億年で消える」と表現されています。

そしてさらに探査機カッシーニが観測した、先述の「土星の赤道上への粒子落下」の分も加味すると、土星のリングは今から約1億年後には消滅するだろうと推定されています。

●リングはいつ形成されたのか

では土星のリングはいつ頃形成されたのでしょうか?

この疑問についても、求められた粒子落下のペースから逆算することができます。

土星のリングは形成当初C環とB環の密度が等しかったと仮定し、今のペースで内側からリングが消失する場合にC環が現在の密度になるのにどれくらいの時間がかかるかを計算すると、「1億年未満」という結果が得られたそうです。

・土星旅行動画

ただし土星の季節が変わり、太陽から来る紫外線がリングに当たる角度が変われば、土星へと粒子が落下するペースも変化するかもしれません。

より正確なリング消失のペースを理解するためには、追加の観測が必要そうです。

土星のリングについて、「土星本体と共に形成された説」と「衛星や接近した小惑星が破壊され、後になって形成された説」が存在し、長年議論があったそうですが、比較的最近得られた先述の結果は、後者を支持しています。

仮に土星のリングが本当に1億年前に形成され、1億年後に消滅するのであれば、これは土星を含む太陽系の46億年の歴史からすると非常に短い期間です。

私たちがこの美しいリングを目の当たりにできる、宇宙規模ではわずかな期間内に生まれたことは、幸運なことだと言えるのかもしれません。

●土星の実写画像集

最後に探査機カッシーニが撮影した土星の美しい画像を紹介します。

こちらは土星が太陽の光を背負った様子を撮影したものです。

複数のリングの存在がはっきりと映し出されています。

そしてそのリングの右下部分を拡大していくと、小さく光る星が見えます。

これはなんと地球です。

私たちが知る生命、そしてその歴史は全て、この小さな青い点の表面に詰まっています。

宇宙がいかに人類と関係なく壮大な存在なのかを教えてくれる、本当に奇跡的な写真です。

探査機カッシーニは今回紹介した以外にも多くの美しい画像集を公開しています。

土星の映像集については以下の動画でまとめて解説しているので、併せてご覧ください。

https://solarsystem.nasa.gov/news/794/nasa-research-reveals-saturn-is-losing-its-rings-at-worst-case-scenario-rate/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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