農業への転身は震災がきっかけ。福島から日本の農業を変えたい!/株式会社ワンダーファーム 寺嶋大輔さん
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/title-1659921719768.jpeg?exp=10800)
福島県棚倉町出身。現在は、“フラガールの町”として知られるいわき市で、トマトを武器に東北を盛り上げようと奮闘している男性がいます。それが、株式会社ワンダーファームの販売課マネージャーで野菜ソムリエの寺嶋大輔さんです。
![“トマトづくし”のテーマパーク「ワンダーファーム」のビッグトマト](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158588275.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
株式会社ワンダーファームが運営する「ワンダーファーム」は、トマト販売を軸に、トマト狩り、トマト加工品の販売、採れたてのおいしいトマトをレストランで提供するなど、“トマトづくし”のテーマパークとしても人気のスポットです。
そのワンダーファームに寺嶋さんが入社したのは、7年前のこと。それまでは包装資材の会社に勤務するサラリーマンだったそう。それがなぜ、農業に携わることになったのでしょう。
![「ワンダーファーム」では、現在十数種類のトマトを育てています](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158718940.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
「ワンダーファームの母体であった『とまとランドいわき』というところがこの近くにあるんです。僕、そこのトマトを入れる袋やパッケージを担当していたんですよね。そうしているうちに、当時専務(現在ワンダーファーム元木社長)から『六次化の仕事をするんだ』っていう新しい構想を聞いて、『すごくおもしろそうだな』って思ったんです。それが、30代前半。前の会社でずっとサラリーマンとしてやっていくのも一つの人生ではあったけど、震災の後で考えが少しずつ変わっていって」。
![愛おしそうにトマトの生育状況を確かめる寺嶋さん](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158748549.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
包装資材の仕事柄、福島の農家さんとの付き合いも多かったという寺嶋さん。
「実際は僕も当時小さかった子どもを山形に避難させてたくらい、当時、福島で起きていた原発被害・風評被害はひどかった。でも、それって思い込みの部分も多い、情報も錯綜している中で、僕自身、悶々としているところがあった。だって、農家さんたち、すごいちゃんと作ってるんですよ。ちゃんと出荷できるように努力して検査して、たぶん世界一安全。でも、みんなには、そういう実際のところが伝わらない。だから伝える側にならないといけないって思っていて。安全はもとより美味しさも。農家さんが一生懸命つくっている背景やこだわりなんかも、そして人柄なんかもね(笑)」。
![「ワンダーファーム」の販売所「森のマルシェ」では採れたてトマトや加工品も購入できます](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158777086.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
そんな忸怩たる思いを抱えていた寺嶋さんは、ある日「とまとランドいわき」の専務(現ワンダファーム社長)から「この場所から、福島の農業を発信していく施設をつくる」と聞き、参加を希望。
食品製造を福島でやっていく中での大変さは感じつつも、そこに携われる人間になりたいと思いったのだそう。「この土地は、耕作放棄地で、自分より背の高い草がボウボウに生えてて。その草を刈るところにも参加しました。一からやっていこうって決めたんです」。
それからは、福島の農を支え、野菜ソムリエの資格も取得。
さらには、次の世代の農業者の創出のための活動「COOL AGRI/クールアグリ」にも参加。福島から、農業の未来を変えていくことにチャレンジしています。
![「とにかく開発が楽しかった」と寺嶋さんが語る「とまと味噌」](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158801643.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
そして2018年には、ヒット商品「とまと味噌」の開発にも成功します。
「この場所も、この商品も、僕にとっては子どもみたい。だから、2020年に『とまと味噌』のパッケージ変えたんですけど、まるで着替えさせるみたいで。お客さまの手に渡ったときにより喜んでいただけるようにしたかった。またぱっと見でもパッケージからお客様に伝えるものにしたくて」。
![トマトにはグルタミン酸という旨味成分が豊富に含まれており一般の味噌に比べ減塩効果にもなっているのだとか](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158859288.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
そしてこの商品は、2021年、仙台市産業振興事業団が主催する「新東北みやげコンテスト」で「お取り寄せ特別賞」を受賞。
「一報を受けたときは、出張中でホテルの部屋で涙を流して泣きました。すごくうれしかった。やっと認めていただけたっていう思いでした」。
![レストラン「CROSS WONDER DINING」で提供されている「麓三高原豚のコルドンブルーワンダフルウスターソース」。絶品です](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/okanumamikie/00309288/image-1661158881345.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
東日本大震災で福島が受けた風評被害から、農業に携わり、この場所から日本の農業の未来をも変えていこうと奮闘する寺嶋さん。これからの活動にも、注目です。
寺嶋さんが開発に携わったヒット商品「とまと味噌」の誕生のものがたりは、ウェブメディア「暮らす仙台」でもご覧いただけます。ぜひそちらもチェックしてくださいね。
福島県いわき市四倉町中島字広町1
0246-85-5105
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撮影/堀田祐介