この世にないもので感動を与える仕事を/Patisserie&Cafe MythiQue土田誠也さん
仙台屈指の人気店「Patisserie & Cafe MythiQue(パティスリー&カフェ ミティーク)」。仙台市内に2店舗、さらに2023年9月にはテイクアウト専門店「MYTHIQUE WONDERLAND」がオープンし、多くの人に愛されています。パティシエの兄とともにこの店を経営するのが、バリスタとして活躍する土田誠也さんです。
土田さん、前職はなんと車のエンジンを設計するエンジニアだったそう。華麗なる転身の裏には、一体なにがあったのでしょうか?
山形で生まれた土田さん。大学生の時には、整備工場でアルバイトをしながら学費を稼いでいたそうです。
「整備の仕事をやっている側から、『いつか車のエンジンをつくってみたい』って思いまして。それでトライして日産に入って、心臓部のエンジンを設計する部署に配属されました。ちょうどルノーと提携したころで、ルノーから来たフランス人エンジニアと協働でエンジンの開発をしていたんです」。
超のつくエリートですが、土田さんは「たまたま、運がよかったんですよ」と、謙虚に笑います。
「『こういう世界があるんだ』っていろんなことを勉強させてもらって。そしたら、欲が出ちゃって『F1カーをつくりたい』って夢ができちゃって。エンジンだけじゃ飽き足らず、ボディーを含めた車全体までつくりたくなった。それで、当時山形にルマンカーをつくるベンチャー企業があって、そこに飛び込みで履歴書を送って採用してもらったんです」。
しかし、土田さんの夢半ばで、そのベンチャー企業は経営難に陥ってしまいました。
「もともと日産にいたころからコーヒーが大好きで、いろんな喫茶店に通っていて。いつか自分でやりたいなって思っていたんです。それで、勉強する時間も必要だし『やるなら今かな。年をとってヨボヨボになってからやるんじゃ無理だろう』と一念発起して転身しました」。
土田さんは、パティシエのお兄さまが経営する、「Patisserie & Cafe MythiQue」でパティシエ兼バリスタとしてやっていくことを決意。宝石のように美しいケーキ、そしてバリスタの淹れるコーヒーのおいしさはさることながら、かわいらしい3Dラテアートが話題となり瞬く間に人気店になりました。
そしてその評判は、日本を代表する航空会社であるJALから評価され、「Patisserie & Cafe MythiQue」のケーキは、国内線ファーストクラスに採用されました。
「大きいところだと、いろんな制約があるけれど、うちの強みは小規模で小回りが利くこと。そして、なによりすごくインスピレーションの高い子たちが集まっているんです。価値観が違う子たちがいろいろそろっていって、それがかみ合ったときにすごい感性が爆発するんですよ。そこで面白いものが生まれて、世の中にないものを生み出していけているんだと思います」。
今年、系列店として焼き菓子とドリンクのマリアージュを楽しむことができる『MYTHIQUE WONDERLAND』をオープンさせた土田さん。今の将来のビジョンを伺いました。
「元々エンジニアだったり、設計士だったり、そして今は食の世界でやっていて。僕、いろんな職業を経験してきて、やってできないものってないと思っているんですよ。だからこれから転職して雑貨屋始めてもおかしくないし、ケーキやりながら自転車とかつくっているかもしれないし(笑)。でも、みんなが喜ぶものを作り出すのが好きで、感動を与える仕事をしたいと思っているのは変わりません。感動するには何をしたらいいか、いつも考えています。そしてこの世にないものを生み出していくのが今からの夢ですね」。
土田さん兄弟のもと、これからも「Patisserie & Cafe MythiQue」は、お客さまを感動させるものづくりを続けていくことでしょう。
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