地方の「食」を日本全国、そして世界へ/カムコミュニケーション株式会社 内橋良介さん
山形県酒田市で、地元産の米粉を使用したお菓子を販売している「COMERU」。運営するのは、カムコミュニケーション株式会社です。今回のものがたりの主役は、代表取締役の内橋良介さん。
内橋さんは大阪出身。なぜ山形の洋菓子店の代表となったのでしょうか。
「学生時代は関西の大学に通っており、大学院を修了する24歳までは関西にいたんです。大学時代は商学を学んでいったのですが、大学院では産業組織心理学というものを学びました。というのも、私は学生時代にすでに起業をしていて、人を使うことに対して課題感を持っていたんです。チームで何かをやるみたいなことがうまく出来なくて、それがきっかけで大学院で産業組織心理学つまり、組織をどうやって動かすかということを研究している著名な先生のもとで学ぶことにしたんです。ところが、理論と実践がかみ合っていない、実世界との乖離を感じました。そのときにサイバーエージェントの社長の藤田晋さんの本を読んで、『この会社に就職しよう。ここだったら3年でも多くのことが学べる』と思ったんです」。
自身でビジネスをすることを決めていた内橋さんは、3年で独立することを念頭に、株式会社サイバーエージェントに就職。
「Makuake(マクアケ)というクラウドファンディングの関西支社の立ち上げをした後、電子書籍を発行している子会社にプロデューサーという形で出向、その後アメーバブログの売り上げ成長を担当しました。在籍中にウェブマーケティングの会社を立ち上げて、3年後にサイバーエージェントを退職しました。僕自身、ウェブの世界を理解しているつもりではあったのですが、成功が速く数字を残すことはできても、10年後20年後そのサービスが残らない可能性の方が高い。そこに虚無感を覚えて、人が生活するうえで欠かすことができない衣食住に関わることに、これまでの自分のウェブでの経験を活かして残っていくものをつくりたいと思ったんです」。
こうして内橋さんは、全国で譲渡を検討している会社を探し始めました。
「この会社に来てお菓子を食べたときに、都内の高級店と変わらないと思いました。私は新潟や北海道にもよく通っていましたが、地方にはクオリティが高いのになかなか日の目をみないケースがあると感じて。それはウェブの力を使えば全国に展開できると感じました」。
内橋さんがCOMERUを買収し、経営を担うようになってからの売り上げはなんと3倍に。
「うちは米粉を使っていて、工場内に小麦粉は絶対に入れない。これも『グルテンフリー』を謳えば、感度の高い消費者は反応してくれると思いました」。
ウェブを活用して売り上げを3倍にしていく一方、内橋さんはある懸念を抱きます。
「お菓子業界に携わる中で、和菓子の衰退を目の当たりにして。それで大阪の和菓子店を買収することにしました。日本文化の一つですし、どうにか後世に残すためのチャレンジができないかと思いまして」。
今後は、国内だけでなく海外への販路拡大も念頭に商品開発に取り組みたい話す内橋さん。地方のよいもの、そして守っていきたい食の文化が全国の人々、そして世界の人に届く日はもうすぐです。
COMERUが自信をもって全国に発信する米粉100の「お米のバウム庄内産完熟メロン」。新東北みやげコンテストで優秀賞を受賞したこの商品についてのものがたりは、「暮らす仙台」でもご紹介しています。
COMERU
山形県酒田市東泉町4-11-6
0234-28-8333
10:00~18:00
毎週月・火曜定休
オンラインショッピングはこちらから