太平洋は台風ゼロ、大西洋では既に3個発生で記録的ペース
現地時間日曜(5日)、アメリカ南部の海域でトロピカルストーム・コリンが発生しました。コリンは今後も勢力をやや強めながら北東に進み、現地時間の月曜夜に、フロリダ北部に上陸する見込みです。
大西洋海域では、トロピカルストームに、発生順に、A,B,C・・・から始まる名前がつけられています。今回のコリン(Colin)は、今年3つ目ですが、この時期に「C」のストームが現れるのは、史上最も早いペースです(過去の記録は1887年6月12日)。今年は大西洋で、記録的なペースで嵐が発生しているといえるでしょう。
今年のストーム予測
先月末、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2016年のストーム予測を発表しました。それによると、平年並みになる可能性が高いとのことですが、コロラド州立大学や、民間気象会社ウェザーチャンネルは、例年よりも多くなると予測しています。
発生が多くなるとの根拠は、エルニーニョが終わり、ラニーニャに移行する見通しがあるためのようです。一般的にエルニーニョの時に比べ、ラニーニャの時はメキシコ湾の対流活動が活発で、70%も多くストームが発生するとの統計もあります。
ここのところ、ハリケーン不足が続いている
※ 日本では平均風速が17メートル以上の熱帯性擾乱を一律「台風」と呼んでいますが、アメリカでは17メートル以上を「トロピカルストーム」、34メートル以上を「ハリケーン」と呼んで、区別しています。
ところで、2005年のハリケーンWilma以来、フロリダには一つもハリケーンが上陸していません。しかし、過去65年間の統計によると、アメリカに上陸した全ハリケーンのうち、40%がフロリダに上陸していました。つまり、このところのハリケーンの枯渇状態は、とても珍しいことといえそうです。
これが新たな問題を引き起こす恐れがあります。
というのは、フロリダの人口のうち、およそ3人に1人が、ここ10年の間に他の土地から移り住んできた人なのです。つまり、3割の人々が、フロリダでハリケーンを経験したことがなく、ハリケーンがやってきた時に適切な避難や対策がとれるのか、不安があるといえそうです。
今回発生したコリンは、ハリケーンまでは発達しない予想が出ていますが、多いところでは200ミリの雨が降ったり、強風や高潮の危険があるなど、被害が出る恐れがあります。当局は、防災ビデオを公開したり、最新の情報の集め方を紹介したりするなど、嵐に備えるよう注意を呼び掛けています。