2021年の相場は警戒が必要 ジム・ロジャーズ世界的投資家が予言
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ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。インタビュー監修をしたジム・ロジャーズ著『大転換の時代 世界的投資家が予言』(プレジデント社)から2021年のマーケットの行方について読み解いていきたいと思います。
株式相場はワクチンへの期待からバブル気味になりつつありますが、波に乗るべきか、手を出すべきではないか、迷っている投資家も多いと思います。ロジャーズ氏は大統領選挙の翌年は気をつけるべきだと言います。
「株式市場が長い間上昇して、資金が大量に流入すると、株価が急上昇して相場が過熱するケースが多い。」
「例えば、1989年〜90年の日本株や99年のアメリカ株がそうだった。ナスダック株式市場は、99年の時点ですでに数年にわたり上昇していたにもかかわらず、最後の6ヶ月でさらに倍増した。これが過熱相場である。」
ロジャーズ氏は「過熱した「バブルの末期」には暴落が待っている。」とも指摘しつつもしばらくバブルは続く可能性が高いと指摘しています。
「現在、バブルが弾ける前の過熱相場の症状は見事に揃っている。2020年8月の相場などはまさに典型的なものだった。しかし、過熱相場はまだ序の口でこれから続くと思っている」
また、バイデン政権が誕生をすると、市場にとっては好ましくなく、ベア相場が近づく可能性があると言及しています。
「市場にとってバイデン氏は好ましくない。そして、アメリカは長期のベア相場を久しく経験しておらず、このような状態が、これまで長く続いたことは過去に例がない。つまり、来るべきベア相場が大幅に遅れているということで、それが到来したときには私の人生で経験したことのないような最大級のものになるだろう。
トランプ氏なら、それを遅らせる舵取りをするだろうが、バイデン政権下では1〜2年のうちにベア相場が訪れることもあり得る。歴史的に見ても、大統領選で支出が多くなった翌年は、何もなくても景気が冷え込むことが多い。要注意である。」
資産運用が非常に難しい局面ですが、ロジャーズ氏は「今のトレンドで最も割安な金融商品は何かと聞かれたら、商品だと答える。」「21年以降は、断然商品の方を買いたいと思っている。」と言います。
以前から繰り返し、金と銀は株式相場が大崩壊する時に保険としてポートフォリオを守ってくれるので誰しもが持つべきだと指摘していますが、農業やエネルギーなど商品相場に注目すべきだと言うのです。「長期的に見れば、商品ほど儲かっている資産は少ない。」という理由からです。
「拙著『商品の時代』の中でも述べたが、株式と商品の価格変動には、逆の相関がある。チャートを見れば、18年程度のサイクルで両者が変化していることがわかるだろう。」
たとえ株式相場が行き詰まってしまったとしても、商品相場で儲けることが可能だと言うのです。株式と商品と両方に投資をすることができれば、武器を2つ持っていることになると言います。
ロジャーズ氏は投資で成功する秘訣は次のことだと言います。
「私が投資家として成功したのは、いつもブル(強気)相場ではなく、ベア相場を追いかけてきたからだ。」
「成功をするための秘訣としては、常に割安な対象を自分で調べて見つけ、よい変化があったら投資をし、機が熟して上昇するまで辛抱強く待つことだ。」
2021年は波に乗りながらもポートフォリオに保険をかけるなど気をつける必要がありそうです。プット・オプションを利用したり、高くなり過ぎている資産クラスを少し売却して、割安な資産クラスである商品などを加えて分散投資をするなども考えられます。
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