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伊藤美誠が中国の脅威!卓球女子団体の決勝に中国メディアも固唾を呑む?

宮崎紀秀ジャーナリスト
卓球女子団体、日本チームの金メダル獲得はいかに?(写真は2021年8月3日東京)(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 本日午後7時半から、決勝を迎える卓球の女子団体。王者中国に挑む日本では、金メダル獲得への期待が高まるが、混合ダブルスで日本に惜敗し、まさかの金を逃した中国にとっても、この対決は目が離せない。決勝戦に熱い視線を送る中国メディアの“熱戦”も楽しい。

中国チームは金、銀のメダリスト

 決勝は、日本時間の午後7時30分、1時間の時差がある中国では午後6時30分から予定されているが、その様子は中国でも国営テレビが生中継する。

 中国のメンバーには当初、日本の水谷・伊藤組と混合ダブルスで対戦し敗れた劉詩雯選手が含まれていたが、怪我を理由に交代。中国チームは陳夢、孫穎莎、王曼昱の3選手で挑む。

 陳選手は今大会の女子シングルスの金メダリスト、孫選手は伊藤美誠選手を破って銀メダル獲得。一昨日の8月3日に更新されたばかりの世界ランキングで、1位、2位、4位の実力者が揃う。

 日本はご存知、石川佳純、伊藤美誠、平野美宇の3選手で臨む。世界ランキングは、伊藤選手の3位を筆頭に、石川選手9位、平野選手12位と続く。

中国女子チームには“大魔王”が?

「今日の種目で、ファンの関心は疑いなく卓球女子団体の決勝だ。中国と日本が再び頂上対決を迎える。“大魔王”孫穎莎は、もう一度、伊藤美誠に教訓を与えることができるのか?」

 中国メディアはこんな風に本日の決勝を盛り上げている。

 ちなみに孫選手は、その実力から中国でこれまで“小魔王”の称号で親しまれてきた。今大会の女子シングルスで、伊藤選手を破ったことから“大魔王”に成長したらしい。

「実力からみれば、我々が絶対的に上にいる。日本チームは伊藤美誠だけだ。最強だが、我々には“大魔王” 孫穎莎がいて、伊藤の相手をする。女子シングルスの決勝では、孫は伊藤に涙を飲ませたが、伊藤は納得していない」

 伊藤選手が、「納得していない」のは、シングルスの試合後のインタビューで、中国選手との対戦について「100%を出さないと勝てない選手。試合でどれだけ力を出せるかが大事。きょうは20~30%ぐらいだったと思う」と振り返った点や、「(銅メダルは)もちろん嬉しいけれど、中国人選手に勝ってメダル取りたい」などと述べた点を指している。

「(伊藤選手の発言は)少し強がりのようにも見える。今度も孫が伊藤をしっかり教育してやり、我々の卓球ドリームチームはすごい、と改めて伊藤に分からせてあげるよう希望する」

 さすがの卓球王国。上から目線である。

女子卓球の“頂上対決”で伊藤を警戒

 別の記事は、自信を示しながらも、もう少し日本を警戒している。

「中国チームは準決勝でドイツを3-0のストレートで楽勝し、今晩、主催国である日本を迎え撃つ。日本の卓球チームの力を過小評価してはいけない。

 人気選手の伊藤美誠と中国選手の対決が、この決勝の最大の見ものだ。中国選手が、普段の実力を発揮し、素晴らしいパフォーマンスを見せることを信じている」

 卓球好きの中国では日本の3選手はいずれも人気がある。

 とは言え、今大会においては、やはり銅メダルを獲得した伊藤選手が、要注意人物と映るようだ。

「これは世界の女子卓球の頂上対決であり、卓球がオリンピック種目になって以来、中国女子卓球への唯一の脅威となる決勝だ。日本には、女子シングルスで銅メダルを獲得した伊藤美誠がおり、彼女はやはり中国にとって脅威だ」

 注目度では、すでに両チームとも金メダルを獲得していると言ってもよさそうだ。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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