日本馬の底力に韓国お手上げ! 第1回「コリアカップ」で見せつけた日本競馬の実力と韓国の意外な反応
韓国競馬界に衝撃をもたらしたのは、やはり日本の競走馬だった。
9月11日にソウル競馬場で行われた第1回「コリアカップ」(韓国G1、ダート1800m)。日本でいうところの「ジャパンカップ」に相当するこのレースで、日本のクリソライトが2着に6馬身差をつける“圧勝劇”を見せた。2着も日本馬のクリノスターオーだった。
3着には韓国のトリプルナインが入ったが、各ハロンラップなども入った「コリアカップ」の詳細結果を見ると、2着馬と3着馬の差は10馬身もある。韓国馬としては最上位となる4番人気に支持された三冠馬パワーブレイドも、4着という結果に終わった。
(参考記事:9年ぶりとなる三冠馬の誕生!! “韓国のナリタブライアン”パワーブレイドの可能性)
前評判だけでなく、レース当日も日本のクリソライトが1番人気、クリノスターオーが3番人気と支持されており、今回の結果は戦前から予想はついていた。
とはいえ、最後の直線を迎える前にすでに決着がついていた “圧勝劇”はやはりインパクトが強く、普段は競馬の話題が少ない韓国メディアも「コリアカップ、日本のクリソライトが6馬身差の大勝」(『スポーツ京郷』)、「コリアカップ、日本馬が1、2着独占」(『スポーツソウル』)と報じている。
ある韓国の競馬ファンは、ブログにこう綴っている。
「コリアカップは惨敗だった。字面だけ見ると、3着と4着に韓国馬が入っており、『コリアスプリント』と大きな差はない。しかし、重要なのは内容だ。3着に入線したトリプルナインは、優勝馬と16馬身差。4着のパワーブレイドは20馬身差。日本の出走馬も非常に強い競走馬というわけではなく、日本ではG3級だ。しかし、大差で負けた。これが韓国のレベルだ」
ちなみに、「コリアカップ」で2着となったクリノスターオーの父はアドマイヤボスなのだが、その弟アドマイヤドンは韓国で種牡馬となっているではないか。まさに血統だけでなく、育成などにおける日韓の差も改めて感じさせる結果となったと言えるだろう。
(参考記事:コリアンダービー馬やGI馬を輩出!! 韓国に渡った日本の種牡馬たち)
ただ各メディアを見ると、「韓国馬も健闘した」という論調が多い。「海外の有名馬たちが出走したなかで、韓国の出走馬たちも予想より良い成績をあげた」(『中央日報』)、「2頭が順位賞金(5着以内)を手にするとは想像できない状況だった」(『スポーツワールド』)
などだ。
実際に、トリプルナインとパワーブレイドを出走させ、戦前は「海外から参戦するほとんどがパート1国で活躍している競走馬たち。心配しているのが実際のところ」と話していたキム・ヨングァン調教師も、「入賞を期待するのが難しい状況だっただけに、このように好成績を残せてうれしい」と語っている。
何よりも同日に行われた「コリアスプリント」(韓国G1、ダート1200m)は、韓国にとっては想像以上にうれしい結果となった。1着こそ香港馬スーパージョッキー(2番人気)に譲ったものの、韓国馬マチョンボルト(12番人気)が2着に入ったのだ。日本のグレープブランデー(5番人気)が3着だったことも、韓国ファンの自尊心をくすぐったかもしれない。
「優勝は香港に譲ったが、韓国馬が準優勝をして、国内外の関係者を驚かせた。(中略)韓国馬事会をふくめた競馬関係者たちはもちろん、韓国国旗を振って応援していた競馬ファンの胸を熱くさせた」(『UPKOREA』)
馬連が315.8倍という3万馬券となっていることからも、競馬ファンたちの驚き具合が伝わるかもしれない。
当日、ソウル競馬場には4万4000人ものファンが集まり、馬券の総売り上げも100億ウォン(約10億円)に迫る盛況だったという。「日本競馬がロールモデル」と公言している韓国競馬界には、非常に良い刺激になったといえるのではないだろうか。
(参考記事:韓国馬事会(KRA)部長に聞いた、初めての“競馬日韓戦”と韓国競馬の実状)
日本と距離が近い韓国競馬が盛り上がることは、日本競馬にとってもメリットがあるだろう。日本に適当なレースがない場合は韓国に競走馬を遠征してもいいだろうし、日本で種牡馬になれない馬たちが韓国では種牡馬入りできるかもしれないからだ。
パート2国入りを果たし、国際競走も開催した韓国競馬。日本馬から受けた衝撃を“カンフル剤”にして、さらなる発展を目指してほしいものだ。