シンガポールのマーライオンが日本に!?愛知県まで会いに行ってきた
シンガポールのシンボルといえば、頭部はライオン、体は魚という架空の動物「マーライオン」です。
シンガポールに行ったことのない人でも、「マーライオンは知っている」という人が多いのではないでしょうか。屋上のインフィニティプールで有名なマリーナベイサンズとともに、マリーナ湾で口から水を吐き出す光景は観光スポットとなっていますが、日本にもマーライオン(正確にはマーライオン像)がいるというのです。
今回は、シンガポールのマーライオンを探しに愛知県へとやってきました。
本当にマーライオンはいるのでしょうか?いざ、出発!
◆目指すは「美浜町」マーライオン待っててね!
実は、日本でのマーライオン探しを始めたのはコロナ禍からでした。
いろいろと検索していると、知多郡美浜町という町に、マーライオンとともに「シンガポールまつり」というイベントがあることを発見。
東京でもなかなかシンガポールがメインとなるイベントなんてないのに、なんで美浜町なの?
とちょっとした疑問を持ちつつ、シンガポール大好きな私はワクワクしながらこの日を待っていました。
日常が戻ってきた2023年。秋の風が吹き始めた10月1日から9日まで開催される「シンガポールまつり」に行くために美浜町へと向かったのです。
私がいる東京から名古屋へは、新幹線で約1時間30分。
そこから更に南下するために、名鉄特急に乗車して約1時間。「シンガポールまつり」が行われる「食と健康の館」の最寄り駅である野間駅に到着です。
駅の周辺には、特にまつりに関しての告知や案内はないようです。駅員さんも常駐しておらず、人の気配もないけれど、本当にここでよいのでしょうか。ドキドキしながらタクシーを呼んで会場へと向かいました。
5分ほど走ると目の前には伊勢湾が現れ、海岸沿いの道路へ。愛知県の形は恐竜の形と表現することがありますが、まさに恐竜の手の部分が会場にあたる場所です。
訪れた日は、会場にマルシェが開催されるということで、建物の前には干し魚を売るいくつかのテントが出ていました。しかし、雨に見舞われて早々と撤収するテントもちらほら。一気に秋めいてきた風は冷たく、私もすぐに施設内へと逃げました。
◆シンガポールまつりで「海南チキンライス」
会場は、道の駅になっていて、新鮮野菜や美浜町の名物である塩や加工調味料、お菓子、民芸品などが売られています。
目の付くところにシンガポール政府観光局のポスターが飾りつけされ、シンガポールの基本情報や名物料理の解説などの展示が壁一面にありました。
フォトスポットとして用意されたパネルは、風船で装飾されてほっこりする出来栄えです。ポップなど、きっとスタッフの皆さんが手作りしてくれたのでしょう。ありがたく撮影をさせていただきました。
別の一角では、メイドインシンガポールのコーヒーの粉末やシンガポール料理のフレーバーのポップコーン、トランプやスカーフなど、現地で販売しているものが売られていてびっくりです。
イベントのひとつとしてクロスワードパズルがあったり、買い物の金額によって、シンガポール政府観光局のグッズがプレゼントされる企画などもあり、充実していました。
実はこのおまつり、検索しても参加者からの投稿がSNSで発見できず、情報がほとんどないまま来てみたのですが、もう120%楽しんでいる私です!!
さてさてお目当てのマーライオンはどこでしょう。
と、気になる表示が!
「マーライオンは ケガの療養のため美浜町の体育館でお休みしています。楽しみにされた皆様ごめんなさい!」
OMG~~!マーライオンがケガ!?
ここにはいない!?
なんということでしょう。このまま私はマーライオンと会うことができないのでしょうか。
というか、
体育館ってどこですか~?
体育館とは、「総合公園体育館」のことで、同じ美浜町でも内陸側に行くそう。スタッフさんに聞いたところによると、体育館に行けばマーライオンに会えるとのことなので、行くしかない!
巡回バスがあるというのですが、時すでに遅し。バスは15分前に出た後で、そのあともうまく時間が合わなさそうなのです。
う~自力で行くかと思ったのですが、やはりタクシーを呼んだ方がよいとのこと。やはり車がないと身動きが取れませんね。
興奮冷めずでおなかもすいてきました。マーライオンとの出会いは一旦置いといて、シンガポールまつりにふさわしいシンガポール料理が提供されているというので、ランチタイムにいたしましょう!
じゃ~~ん!こちらは、「マーリープレート」。マーリーというのは、シンガポール政府観光局のマスコットキャラクターの名前です。
シンガポール名物の海南チキンライス風の鶏肉とごはん、串焼きのサテ風の鶏のから揚げ、ソフトシェルクラブのスイーツチリソースがけなど盛りだくさんです。
中国醤油、生姜ソース、チリソースをお好みで鶏肉につけて食べるのが、海南チキンライスの王道の食べ方です。薄くスライスされた鶏肉は本来は茹で鶏ですが、揚げているのでしょう。少しドライな感じでしたが、食べやすくて満腹になりました。
まさか道の駅で海南チキンライスが食べられるなんて感激です。
さぁ、おなかもいっぱいになったので、マーライオンに会いに行きましょう!
◆なぜ美浜町にマーライオン?謎が解けた!
雨が強まっていく中、タクシーに乗り込んで15分ほど走っていくと、大きな敷地に到着。
「総合公園体育館」は図書館やグランドを併設する町民の集いの場にもなっている場所です。
建物に入ってもドキドキが止まりません。東京や大阪のシンガポールレストランにいるマーライオンは会ったことがあるけれど、施設に常設してあるマーライオンを日本で見るのは初めてです。
いました~~!
体育館のエントランス側にいたマーライオン。少々細身のような感じで、台に乗ってはいますが、高さ170cmくらいでしょうか。
いやはやご立派な姿!男前ですわ!
マーライオンの前にあるプレートを見てみると、なぜマーライオンがこの美浜町にいるのか謎が解けました。
「愛・地球博フレンドシップ・マーライオン像」と書いてありますね。
2005年に開催された愛・地球博のシンガポール館で展示されたマーライオンが、シンガポールと美浜町の友好のシンボルとして寄贈されたものだというのです。
大盛況だった愛・地球博。"自然の叡智"がテーマであり、21世紀初の万博として世界各国のパビリオンが集結して人気となっていました。しかし、なぜシンガポールと美浜町が友好とする関係にあったのか、その謎はさらにプレートの下にありました。
「日本人のシンガポール定住者第1号となった『音吉』の縁で、このマーライオン像が美浜町に寄贈されました。」
ですって。「音吉」さんって?どなたでしょう。
実は、先ほどの「食と健康の館」にも展示がしてあり、気になっていたのですが、体育館の壁に「音吉」さんのことが書いてありました。
ついにすべての謎が解けました!!
「音吉」こと山本音吉さんは、1817年頃、小野浦村(現 美浜町)に生まれた美浜町出身者で、1832年に乗り込んだ船が嵐にあい、なんと14か月も漂流してしまったそうです。
そこから波乱万丈の人生が始まり、日本人で初めてアメリカやイギリスの土を踏んだのも音吉さんなんですって。
中国本土やマカオにも移住し、イギリス軍の通訳としても活動し、1862年にシンガポールへ移住し、日本人移住者第1号になります。そして、1867年シンガポールの地で生涯を閉じたのです。
そんな歴史的つながりのある音吉さんを縁に、愛・地球博での1市町村1国フレンドシップなど友好的な交流によって、美浜町はシンガポールのホストタウンにもなっているのです。
いやはや驚きました。シンガポールがマレーシアから独立する1965年のはるか昔、イギリス植民地時代の話です。そんな時代から始まり、今もこのように美浜町とシンガポールの友好が形になっていたなんて!
なかなか時間はかかりましたが、美浜町を訪れてよかった。
マーライオンに会えてよかった。
みなさんも興味があったら、ぜひマーライオンに会いに美浜町に行ってみてくださいね。
美浜町は、塩の産地でもありますし、ダイビングや海水浴場もあるので行楽にもぴったりです。