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対外試合4連敗! 大阪桐蔭、ホントに大丈夫? 気になる前田の状態は?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は、大阪大会、近畿大会に続き、愛知での練習試合も連敗した(筆者撮影)

 高校球界の盟主、大阪桐蔭(タイトル写真)がおかしい。絶対的エース・前田悠伍(3年=主将)が夏一本に絞って調整中だということはすでに述べた通りだが、チーム状態が上がってくる気配すらない。甲子園を懸けた夏の大阪大会開幕まで1か月。大阪桐蔭は、本当に大丈夫なのだろうか?

大阪、近畿に続き、愛知でも連敗

 春の大阪大会では、伝統的に苦手とする金光大阪に競り負け、準優勝に終わった。続く近畿大会の初戦では、2年前のチームが死闘を繰り広げた智弁学園(奈良)に6-8で打ち負け、公式戦2連敗。さらに今月1日に名古屋のバンテリンドームであった享栄栄徳(ともに愛知)との練習試合でも連敗を喫し、都合4連敗となった。夏に向けての調整段階なのだろうが、大阪桐蔭が対外試合で4連敗など、聞いたことがない。

前田は愛知遠征帯同も登板はなし

 試合結果もさることながら気になるのが主力選手の状態だ。前田については、大阪大会から近畿大会を通してベンチを外れたものの、名古屋遠征には帯同した。同じ左腕では全国ワンツーと称される享栄の東松(とうまつ)快征(3年)と仲良く記念撮影には応じたが、肝心の登板は見送られた。今回は「愛知享栄学園110周年記念試合」(栄徳も享栄学園傘下)ということで、大阪桐蔭が招待を受けた形。高校野球とはいえ、その金看板である前田が投げないことは一体、何を意味するのか?

前田の状態が上がってこない?

 享栄は愛知を代表する古豪私学で、5年前から、中京大中京(愛知)を全国優勝に導いた大藤敏行監督(61)が率い、夏の甲子園出場を狙う。名門の記念行事にふさわしいビッグネームの登場とあって、無観客ながら開催前から話題を呼び、前田と東松の投げ合いも期待された。前田の状態を考慮して「直接対決」を避けたとは考えられるが、栄徳との試合で顔見せ程度の登板でもそれなりの納得感はある。近畿大会の際、大阪桐蔭の西谷浩一監督(53)は「(前田は)普通に練習している」と話したが、今回の登板回避は、前田の状態が上がってこないことを暗に示しているのではないだろうか。

前田以外に投打の主力も離脱中

 不安材料は前田だけではない。大阪大会終盤から登板せず、近畿大会では肩のコンディション不良でベンチを外れた右腕の南恒誠(3年)と主砲の徳丸快晴(2年)の状態も気がかりだ。特に南は前田に次ぐ経験があり、夏の大会では欠かせない戦力で、本番までに復調できるか。徳丸はうまさとパワーを兼ね備えた左打ちの逸材で、今チームではスタート時から中軸に座る。この連敗では、投手が崩れたり、打線がつながりを欠いたりした。前田だけでなく、主力選手も状態を上げていかないと、夏の大阪を勝ち抜くのは容易ではない。

1年生の新戦力が救世主となるか

 そんな中、新戦力の1年生投手が躍動した。宮崎出身の森陽樹(はるき)と大阪出身の中野大虎(だいと)だ。ともに右腕で、直球は軽く140キロを超える。2年生投手陣がやや伸び悩む中、来季はエース争いを演じるだろう。前田の状態次第では、今夏から1年生の力が必要となるかもしれない。この1か月で、大阪桐蔭はどのようなチームに変貌するのだろうか。いずれにしてもカギを握るのは、前田の状態しかない。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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