Yahoo!ニュース

交通事故からカムバック~エロール・スペンス・ジュニアは、12月5日に何を見せるか

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
26戦全勝21KOのスペンス。連勝記録をKOで伸ばすか?(写真:REX/アフロ)

 WBC/IBFウエルター級チャンピオンで、26戦全勝21KOのサウスポー、エロール・スペンス・ジュニアが14カ月ぶりのリングに上がる。

 12月5日、テキサス州アーリントンのAT&Tスタディアムで、WBC/WBAスーパーライト、WBCウエルターと2階級を制した36勝(21KO)2敗のダニー・ガルシアを迎え撃つ。

ガルシアにとっては、今年1月25日以来のリングとなる Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
ガルシアにとっては、今年1月25日以来のリングとなる Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 パウンド・フォー・パウンドの上位にランクされてきたスペンスだが、昨年10月10日の午前2時53分に、愛車、フェラーリ488スパイダーを運転中に大事故を起こしたのは記憶に新しい。事故の原因が飲酒運転だったこともあり、スペンスはブランクを余儀なくされた。

 12月5日の防衛戦はスペンスにとって事故以来で、FOXテレビがPPV放送することとなった。

 

 スペンスは言う。

 「俺にチューンナップ戦はいらない。タフで自分を限界まで追い詰めてくれるような相手と戦う。リングに戻るからには最高のパフォーマンスを見せるつもりだ。

 ダニーはそういう相手だよ。彼を下すことでウエルター級最強を証明できる。リングに上がる準備は万端。フィジカルは100%に仕上げた。故郷で行われるファイトだから、地元ファンに喜んでもらえるように、ハードなトレーニングを重ねてきた」

 

 気になる事故についてはサラリと触れた。

 「確かに派手にやっちまったな。でも、お陰で以前よりもハングリーな自分を築けた気がする。チャンピオンに相応しいトレーニングキャンプをこなした自負がある。

 24時間、自分が世界チャンプだってことを理解しながら過ごしているよ」 

 スペンスのトレーナーであるデリク・ジェイムスも語る。

 「エロールは単に試合で勝利することだけじゃなく、ウエルター級のベストファイターであることを世界に証明しようとしています。あらゆる面で成長を感じるんですよ。今回の試合は、チーム・エロール・スペンス・ジュニアにとってキャリアで最も大きなファイトになります」

 事故で受けた精神的、肉体的ダメージは無いのか? 果たしてスペンスはどんなファイトを見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事