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貴重な晴天を大切に 低気圧の通過でほぼ全国的な雨の今週末と来週の前線停滞

饒村曜気象予報士
日本を覆う移動性高気圧(5月3日15時)

憲法記念日の晴天

 令和5年(2023年)5月3日の憲法記念日(日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する国民の祝日)は、大きな移動性高気圧に覆われ、全国的に晴れて気温が平年並みか平年より高くなりました(タイトル画像参照)。

 5月3日の最高気温が25度以上の夏日が148地点(全国の気温を観測している914地点の約16パーセント)でしたが、最低気温が氷点下という冬日も53地点(約6パーセント)もありました(図1)。

図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和5年1月1日~5月3日)
図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和5年1月1日~5月3日)

 日中は初夏の陽気となっても、朝晩は今の時季らしい冷え込みで、寒暖差の大きな一日となったことの反映です。

 ただ、高気圧の東進に伴い、九州では次第に雲が広がり夜から雨が降る所もでてきました。

 とはいえ、移動性高気圧の動きがゆっくりのため、5月4日のみどりの日(自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ国民の祝日)も、九州で曇りや雨の他は、晴れて気温が高い所が多くなる見込みです。

 5月4日の最高気温の予想は、沖縄県宮古島や石垣島で30度となっています。

 最高気温30度以上が真夏日ですので、沖縄県先島諸島では真夏日の予報ということができます。

 また、札幌市と名古屋市で26度、東京で25度と最高気温が25度以上の夏日の予想となっており、真夏日の観測地点数は4月20日に記録した374地点(約41パーセント)を上回るかもしれません(図2)。

 北海道では、曇りや雨の西日本各地より高い最高気温で、真夏の気温です。

図2 予想最高気温の分布(5月4日の予想)
図2 予想最高気温の分布(5月4日の予想)

 ゴールデンウィークの行楽に適した晴天ですが、この晴天は長続きしません。

 中国大陸に発生した前線が東にのび、前線上に低気圧が発生するためです。

今週末の天気

 5月5日のこどもの日(こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する国民の祝日)は、前線上に発生した低気圧が日本海を東進する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(5月5日9時の予想)
図3 予想天気図(5月5日9時の予想)

 このため、九州・南西諸島や北日本では雲が多くなり、東北地方では雨が降る所もある見込みですが、その他の地方は概ね晴れて気温が平年より高くなる見込みです。

 雨で始まった今年のゴールデンウィークでしたが、ゴールデンウィーク中盤は晴天の後押しや新型コロナ禍の反動もあって、各地の行楽地はにぎわっています(写真)。

写真 岡山県倉敷市の大原美術館付近(5月2日に筆者撮影)
写真 岡山県倉敷市の大原美術館付近(5月2日に筆者撮影)

 ただ、ゴールデンウィーク最後の5月6日(土)から7日(日)は低気圧と前線の通過によって、ほぼ全国的に雨となる予報です(図4)。

図4 5月6日(土)の全国の天気(数字は左が最高気温、右が最低気温の予想)
図4 5月6日(土)の全国の天気(数字は左が最高気温、右が最低気温の予想)

 しかも、北海道南部や、九州中国地方では大雨の可能性があります。

 気象庁では早期注意情報を発表し、5日先までに警報を発表する可能性について「高」「中」の2段階で示しています。

 これによると、大雨警報を発表する可能性は、5月6日の北海道の渡島・檜山地方、島根県・長崎県・熊本県で「中」、5月7日の島根県・長崎県・熊本県で「中」となっています(図5)。

図5 大雨に関する早期注意情報(5月6日)
図5 大雨に関する早期注意情報(5月6日)

 今週末は、単なる雨ではなく、災害をもたらす大雨の可能性もありますので、最新の気象情報に注意してください。

 それだけに、現在の晴天は貴重です。

 晴れた日の行楽を予定している場合は早めに済ませると良さそうです。

東京の気温と前線停滞

 東京の最高気温と最低気温は、3月以降は平年より高い日が多く、寒気が入ってきても平年並み位までしか下がりませんでした(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(5月4日以降はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(5月4日以降はウェザーマップの予報)

 季節が進むにつれ、平年値が上がっていますので、平年並みといっても、冬に比べれば、かなり気温が上がっています。

 今年初の夏日は3月24日で、これまで4日間の観測があります。

 しかし、5月4日以降は、来週前半を除いて、ほとんど夏日の予報となっており、まさに初夏の気温です。

 来週前半に夏日とならないのは、本州南岸に前線が停滞し、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く見込みであるからです(図7)。

図7 東京の16日先までの天気予報
図7 東京の16日先までの天気予報

 しかも、来週前半の予報は、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAや、二番目に高いBの予報です。

 そして、来週後半からは、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が低い曇り)が続く予報です。

 これは、停滞前線が少し南に下がり、沖縄付近で停滞すると考えられるからです。

 那覇の16日先までの天気予報をみると、来週から黒雲マークの日が増え始め、再来週には傘マークの日が続く見込みです(図8)。

図8 那覇の16日先までの天気予報
図8 那覇の16日先までの天気予報

 梅雨入りの平年は沖縄県で5月10日、鹿児島県奄美地方で5月12日ですから、いつ梅雨入りしてもおかしくない時季にきています。

タイトル画像、図2、図4、図5、図7、図8の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図6の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

写真の出典:筆者撮影。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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