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J・フェリックス頼りのアトレティコ攻撃陣に起爆剤を…カバーニを求めるシメオネ

森田泰史スポーツライター
ゴールを喜ぶフェリペとジョアン・フェリックス(写真:ロイター/アフロ)

アトレティコ・マドリーが、パリ・サンジェルマンのエディンソン・カバーニを狙っているようだ。アトレティコを率いるディエゴ・シメオネ監督は「起爆剤」を欲しているのかもしれない。

今季開幕前、アトレティコでは大幅な刷新が行われた。リュカ・エルナンデス(バイエルン・ミュンヘン)、アントワーヌ・グリーズマン(バルセロナ)、ロドリ(マンチェスター・シティ)、ディエゴ・ゴディン(インテル)らが去り、新たに8選手が加入した。

■J・フェリックスに依存

なかでも、注目されたのがジョアン・フェリックスだ。アトレティコは移籍金1億2700万ユーロ(約152億円)をベンフィカに支払い、ジョアン・フェリックスを獲得。グリーズマンの代役に、当時19歳のアタッカーが選ばれた。

J・フェリックスはプレシーズンからジエゴ・コスタと息の合ったプレーを見せ、リーガ開幕節ヘタフェ戦ではハーフラインから個人技で相手守備陣を切り裂き、フガドン(スーパープレー)でPKを獲得した。高額な移籍金も相まって、新戦力に対する期待値は高まっていった。

その一方で、J・フェリックスへの依存度が強まった。シーズン序盤戦、J・フェリックスが負傷離脱した期間、アトレティコの戦績は6試合3勝2分け1敗だった。抜群の相性を誇ったD・コスタは椎間板ヘルニアで11月21日に手術を行い、3カ月超の長期離脱を強いられた。重戦車の如く、前線で動き、体を張る万能型FWで2トップを組むというシメオネ監督の算段は崩れた。

アルバロ・モラタが公式戦9得点(リーガエスパニョーラ7得点)でチーム内得点王になっているが、彼は6試合連続得点のあと、5試合ノーゴールに終わるなど、好不調の波がある。その中で、J・フェリックス、アンヘル・コレアの果たす役割は大きい。彼らがハーフスペースを突き、違いをつくっている。

■補強を検討

改善を目指して、アトレティコが獲得を検討しているのがカバーニである。

カバーニは、今季開幕前のマウロ・イカルディのレンタル加入と負傷の影響で出場機会を減らしている。フランスのリーグ・アンで8試合に出場して2得点。パリSGに移籍した2013年夏以降、カバーニは毎シーズン、二桁得点を挙げてきた。そのカバーニとしては、物足りない数字だ。

しかし、アトレティコのカバーニ獲得は簡単ではないだろう。今年2月14日に33歳になるカバーニは、今季、負傷で12試合を欠場しており、フィジカルコンディションに難がある。また、カバーニは今季終了時に契約満了を迎える。つまり、この夏、フリートランスファーで、移籍金ゼロで獲得可能になる選手なのだ。

それだけではない。2013年の初めに導入が決定したリーガのサラリーキャップ制度だ。今季のアトレティコの総年俸上限額は3億4850万ユーロ(約418億円)である。すでにその額はほとんど満たされているとみられ、選手放出をしなければ、補強を行えない状況だ。

■選手放出の可能性は

そこで、現在、アトレティコのフロントが考えているのがトマ・レマルの売却だ。レマルの獲得に、アトレティコは移籍金7200万ユーロ(約86億円)をモナコに支払った。レマルの保有権の70%を確保するためだった。

当時、クラブ史上最高額だった移籍金を「回収」できるかは疑わしい。だがシメオネ政権において、冬の移籍市場で補強を敢行しなかったのは2016-17シーズンのみである。

それ以外のシーズンでは、常に後半戦に向けて選手を獲得してきた。シメオネ監督の要望に応じるーー。その目的を果たせるか、アトレティコとマーケットの動きに注目だ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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