クリスマスから正月にかけての韓国の「感染防疫対策」
韓国はすでに11月中旬から新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため防疫対策「社会的距離の確保」のレベルを上から2番目の第2.5段階に引き上げている。しかし、感染者は増大する一方である。
およそ1か月前までは300人前後だった全国の新規感染者は今では1千人を超え、昨日も1090人が確認された。今月12日に初めて1千人を超える感染者を確認してから直近の10日間で7度目の1千人超えである。
現状のままだと、12月27日からは1日当たり1200人に達する可能性があると予測した韓国政府「今は国家的非常状況にあり、防疫が崩れれば、経済も崩壊するほかない」(鄭世均総理=中央災難安全対策本部長)との危機感から明日(24日)から1月3日までの年末年始にかけて全国で特別防疫強化措置を取ることにしている。
◇政府の防疫措置
韓国では感染者を迅速に発見、隔離するためすでに今月9日から若者が集まる学生街やソウル駅など約150の地域にウイルス検査を行う診療所を臨時で設置するなど防疫体制を強化しているが、明日からは以下のように防疫体制をさらに強化する。
▲早期隔離と追跡調査を通じた感染拡散を遮断するためコールセンター、金融機関、公企業、製造会社などで集団検査を拡大する。
▲老人ホームや介護施設などの従事者に対して首都圏では週に1回、地方では2週間に1回PCR診断検査を義務化させる。また、迅速抗原検査を活用し、週に1~2回程度検査を拡充する。
▲来年1月3日まで臨時選別所を運営する。首都圏の選別診療所は夜間と休日も行う。誰でも望めば、無料で検査を受けられる。
※首都圏に臨時選別所が1338か所設置され、22日には一日5万の検査が実施されている。
▲軽症・無症状者が隔離される生活治療センターと病院に医師113人、看護師308人、医大生奉仕団48人を含め716人の人力を補充する。
▲中・重症者患者用先端治療病床は263床運営中で、今後上級総合病院などを通じ500床まで確保する。
◇施設や店舗に対する規制
韓国ではすでにクラブなど遊興業、理容、美容室、スポーツジム、サウナ、スーパーマーケット、商店などは夜9時以降の営業が禁じられている。飲食店やカフェも夜9時以降はテイクアウト以外、営業ができない。これに加え、明日からは新たに以下の規制が掛けられる。
▲百貨店や大型スーパーマーケットでの検温化を義務化する。
※試食や試飲、化粧品など見本品の使用を禁止する。集客のための行事を中止する。休憩室など休息空間の利用も禁止する。
▲ホテルや旅館などの宿泊施設は50%以内に予約を制限する
※ホテル内での個人のパーティーを禁止する。
▲飲食店は5人以上の予約を受け付けない。5人以上の入店も禁止する。
※8人で来店して、4人掛けの二つのテーブルでの食事も禁止する。50以上の規模の店はテーブルとテーブルの間に1メートルの距離を開ける。
▲公演会場の席は2席空けること。
▲全国の映画館の営業は午後9時までとする。
▲スキー場やアイススケート場などウインタースポーツ施設の運営を停止する。
※全国のスキー場16カ所、アイススケート場35カ所、雪そり場128カ所が対象
▲初日の出スポットなどの観光名所を閉鎖する。
※慶尚北道浦項市にある虎尾串の「日の出広場」、日本海側の江陵・正東津、ソウル・南山公園、国公立公園などが対象。
▲全国の裁判所は1月11日まで休廷する。
※裁判所の職員は週2回以上の在宅勤務として、他地域への移動を自粛する。
▲運転免許証の更新期限を最大6カ月延長する。
※来年1月1日から6月30日までの運転免許更新者は約30万人に上る
▲教会など宗教施設での礼拝などは非対面で行う。
※宗教団体の集いや食事会は禁止する。
◇人の行動規制
すでに地下鉄駅やバス停などの交通機関の他にスポーツ施設、公演施設、学習塾からカフェ、レストラン、大型ショッピングモール、デパートなどでマスクの義務化が実施されている。違反した場合、10万ウォン(9500円)の罰金が科せられる。利用者だけでなく、カフェやレストランなど経営者もこれに違反した場合、処罰され、罰金が科せられる。「初犯」は150万ウォン(約14万2千円)だが、「再犯」は倍(300万ウォン=28万4千円)に跳ね上がる。明日からは以下のような行動が求められている。
▲5人以上の会食、会合などは中止する。
※バースデイ・パーティー、クリスマス・パーティー、忘年会、新年会を自粛する。
▲全国の飲食店での5人以上の会食を禁じる。
※5人以上の予約、同伴来店も禁止する。(家族は例外とする)
※違反した場合は客には最大10万ウォンの過料を科す。飲食店に最大で300万ウォン(約28万円)を科す。
▲年末年始の旅行や会合などはキャンセルし、ステイホームとする。