前年比でプラス、40代の減少苦悩は続く…2016年のサラリーマンこづかい事情
中堅層が減少した今年のサラリーマンおこづかい事情
日本の就労者の就業職種のうち少なからぬ割合を占めるサラリーマンの生活様式は、それらの人々自身だけでなく、日本の社会全体の状況を推し量る一つの指標となる。新生銀行では毎年1回、このサラリーマン(など)の日常生活に関する調査「サラリーマンのお小遣い調査」を行い、その結果を報告書として発表している。今回はその最新版にあたる、2016年6月に発表した「2016年サラリーマンのお小遣い調査」(2016年4月8日から13日にインターネット経由で実施。有効回答数は2353人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1047人・女性789人。世代構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て。実社員数、人口数をもとにしたウェイトバックはかけられておらず、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある))の結果などを元に、直近、そして近年におけるサラリーマンの小遣い事情を確認していく。
年齢階層別のおこづかい推移は次の通り。
全体としては前年の減少傾向から転じて増額、プラス231円の3万7873円。調査の限りでは2011年以降はほぼ横ばいを維持し、その中で前年となる2015年ではいくぶん大きな下げを示した。今年はそこから上昇を果たしたもののその幅はわずかで、1979年の調査開始以降では1982年の3万4100円、2015年の3万7642円に次ぐ低い値となった。
金額そのものは20代がもっとも大きく4万0879円、次いで50代の3万8113円、そこから少し下げて30代が3万6846円、そして40代の3万5670円と続いている。
去年からの増減額では20代のプラス2714円、50代のプラス117円がプラス圏、30代のマイナス850円と40代のマイナス1049円がマイナス圏。下げ幅では40代がもっとも大きいが、この世代は前年も年齢階層別では最大の下げ幅を示しており、ツラい状況がうかがえる。
今年だけでなく数年来続いている傾向だが、20代から50代のサラリーマンでは、給与が一番少ないはずの20代ではなく、30代から40代の中堅層が一番、おこづかいの額面では小さな値を示している。子供がいる世帯が多く、家計内でのやりくり事情が影響していると考えられる。
実際、既婚と未婚で区分すると未婚者の方が平均額は高い。未婚者全体では4万5097円、既婚で子供なし・共働きでも4万2116円、既婚で子供あり・専業主婦では3万2254円にまで額が減る。同時に付き合いも増え半ば強制的な出費もかさむこの世代には、氷河期時代が継続中。
日経平均株価とサラリーマンのおこづかいと
公開されているデータを元に、毎年のサラリーマンの小遣い状況の推移と、日経平均株価(年末の値、2016年は7月1日終値)をかぶせると次のようなグラフが完成する。
グラフの形状、さらには報告書でも指摘されているが、1991年以降のバブル崩壊後においては、こづかい額は日経平均株価に1年から2年遅行する形で連動する動きを示している。これはまさに景気対策・政策の実行と、その成果が民間ベースにまで浸透するタイミングと近いもので、興味深い傾向でもある。
2016年においては前年と比べて株価は下落した(時系列上では3300円ほどのマイナス)、つまり経済そのものが軟調さの気配を見せていることになる(この時期、イギリスのEU離脱に関する国民投票で為替レートが大きく動き、株価の足が引っ張られたのが大きい)。一方でこづかい額は逆にわずかだが上昇している。来年の調査までに株価が戻し、マインドが回復していないと、おこづかいの動向も厳しいものとなりそうだ。
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