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決戦を前にジョアン・フェリックスが復調。「運命」のリヴァプール戦を控えるアトレティコ。

森田泰史スポーツライター
今季開幕前にアトレティコに移籍したJ・フェリックス(写真:ロイター/アフロ)

アトレティコ・マドリーが、少しずつ調子を取り戻している。リーガエスパニョーラ第27節終了時点、勝ち点45で6位に位置。3位セビージャとは勝ち点2差だ。チャンピオンズリーグでは決勝トーナメント一回戦ファーストレグでリヴァプールに1-0と勝利を収め、セカンドレグを残している状況である。

一方で、コパ・デル・レイにおいては2部B(実質3部)のクルトゥラル・レオネサに不覚を取り、ベスト32で敗退した。冬の移籍市場では、パリ・サンジェルマンのエディンソン・カバーニ獲得に失敗。ヤニック・カラスコが復帰したものの、前線の駒不足感が否めなかった。

■J・フェリックスの復調

朗報としては、ジョアン・フェリックスの復調だろう。リーガ第21節レガネス戦で負傷したJ・フェリックスは4試合に欠場した後、第25節ビジャレアル戦で復帰した。

そして、その試合でJ・フェリックスは久々にゴールを決める。公式戦では昨年12月11日のチャンピオンズリーグ・ロコモティフ・モスクワ戦以来、リーガにおいては9月29日のマジョルカ戦以来の得点だった。J・フェリックスにとって、流れの中からの得点は15試合ぶりだった。1156分にわたり、PKを除いてネットを揺らせずにいた。

J・フェリックス、ジエゴ・コスタ、アルバロ・モラタの3選手には、プレシーズンから期待感が高まっていた。しかし、現時点、J・フェリックス(公式戦6得点)、コスタ(2得点)、モラタ(11得点)と少し物足りない数字だ。

■グリーズマンとの比較

ただ、J・フェリックスは着実にアトレティコに適応してきている。リーガで20試合出場(出場時間1409分)、4得点1アシスト、シュート数36本、ドリブル数18回、パス本数383本、ボール奪取数46回、デュエル数190回、インターセプト数7回を記録している。

今季からバルセロナでプレーしているアントワーヌ・グリーズマンが、リーガで26試合出場(出場時間2138分)、8得点4アシスト、シュート数34本、ドリブル数16回、パス本数923本、ボール奪取数67回、デュエル数163回、インターセプト数10回という数字だ。

J・フェリックスの守備面の数字はグリーズマンに劣らない。当然、バルセロナとアトレティコのプレースタイルは異なる。だが移籍一年目のJ・フェリックスがこれだけできれば上出来だろう。

また、シメオネ監督の「切り札」となっているのが、アンヘル・コレアだ。

この夏、バレンシアのロドリゴ・モレノ獲得に動いていたアトレティコは、コレアをミランに売却するつもりだった。そういった背景があり、コレアは序盤戦で招集外とベンチスタートが続いた。連続スタメン出場を果たしたのは第10節アスレティック・ビルバオ戦以降だ。

コレアはリーガ22試合出場(出場時間1493分)で5得点6アシスト。11ゴールに絡む活躍を見せている。アトレティコはリーガ27試合で31得点。コレアは約35%のゴールに絡んでおり、移籍騒動が収束して再びシメオネ監督の信頼を勝ち得た。

アトレティコは現地時間11日に運命のリヴァプール戦を控えている。セカンドレグは敵地アンフィールドで行われる。勝てば、チャンピオンズリーグでベスト8に進出。決戦を前にディエゴ・シメオネ監督の采配に注目が集まる。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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