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いい精神科医を探す方法と賢い患者になる方法

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


さて、いい精神科医を探すために、多くの人は、インターネットで探すかと思うのですが、まずは通いやすい所から探してみると良いでしょう。精神科医とは長いつきあいになることが多いので、やはり通いやすい所が1番です。

そして自分が行こうとしている病院の医師が、精神保健指定医か日本精神神経学会認定専門医の資格を持っているかどうか確認しましょう。持っていなかったらダメということはないのですが、願わくば持っていたほうがいいです。それがポイントです。

次に、見つけたら、電話して予約を取りましょう。いきなり訪ねるのはおススメできません。診てもらえない可能性が大だからです。そして、電話して何カ月も待たされるようでしたら、よほど、あなたにこだわりがあれば別ですが、他所の病院を探したほうがいいです。待っている間に、どんどん症状が悪化してしまう可能性が大だからです。混んでいる病院のほうがいい薬を持っている…ということはありませんので、どうぞ、数日後もしくは数週間後に診てもらえる病院をお探しください。

あとは、実際に行ってみないことにはわかりません。行ってみて良かったら通い続ければいいですし、良くなかったら転院を考えればいいです。ちなみに、インターネットに載っている病院の口コミ情報は、あまりあてにならないです。少しぐらいは参考にしていいかもしれませんが、本気で信じるものではありません。

次に、精神科医に罹るのには、自分が賢い患者になるのが何よりも大切です。自分が賢い患者にさえなれれば、医師のパフォーマンスを最大限に発揮できるようになるので、自分の目の前の平凡な医師を非常に有能な医師に変身させることが出来ます。精神疾患に関しては、患者と医者の協力、二人の関係が非常に大切なので、ここは本当に重要です。

さて、賢い患者になるために知っておかなければならないことは、医師は何をする人か、知っておくということです。よくある誤解は、「医師は、自分の話を親身になって聞いてくれる人だ」というものです。それは違います。精神科医は、あなたの悩み事を聴く人でも、あなたの苦悩の寄り添う人でも、人生相談をする相手でも、何か生きる上で参考になる有益なアドバイスをする人でもありません。「医師は、患者の脳という臓器を、薬物を使って、有効に働くよう、手助けしてくれる人」です。これ以下でもこれ以上でもありませんし、そしてそれは、いいことでも悪いことでもないです。どうぞ、このことをしっかり頭に叩き込んで下さい。

よく患者さんから、「あの医師は、私の話を全然聞いてくれないからダメだ」とか「不愛想でこっちの目も見ないからダメだ」という声を聞くのですが、その訴えは的外れです。

医者は、患者の話を聞いて、その症状にあった薬を処方する、薬のスペシャリスト、薬のプロフェッショナルなのです。お悩み相談の先生ではないのです。だから、患者が医師に向かって、「私はどうしたらいいのでしょうか?」などと、人生上のアドバイスを求めるのは、基本間違っています。

もちろん、世の中には、患者の話を熱心に聴き、患者に有益な人生上のアドバイスをする精神科医もいるにはいますが、それは例外的なことだと思っていたほうが賢明です。

「幸せに生きる方法を知りたい」とか、「悩みの相談に乗って欲しい」というのであれば、訪ねるべきところは、メンタルクリニックではなく、カウンセリングルームということになります。

私は、医師は、基本、薬を出すだけしかしてくれませんが、それだけで十分に存在意義があると思っています。私は、過去に、ひどい内因性のうつになって苦しんだことがあるのですが、その時、どれだけ精神科医に助けられたか、計り知れません。私を診てくれた精神科医は、私の話を聞いてもくれませんでしたし、私に優しい言葉もかけてくれませんでしたが、それでも私は、その精神科医に、今も感謝しています。

さて、賢い患者になる方法ですが、精神科医が耳にしたくない、精神科医には言ってはいけないNGワードが4つあります。それは次の4つです。
1.医師に自分から自分の病名を告げてはいけない。
2.医師に自分から具体的な薬物名を口に出して要求してはいけない、
3.医師に自分から臓器名を口に出してはいけない。
4.医師にカウンセリングとかカウンセラーという言葉を口に出してはいけない。

今言った4つの言葉を口にすると、医師がへそを曲げる可能性が大なので、言うのは避けたほうが賢明です。医師は私たちが想像する以上に、プライドが高い生き物であることを、どうぞ忘れないようにしてください。

じゃ、「医師には何を伝えればいいのか?」と言うと、病院に来た理由を話せばいいのです。「いつ頃からどのようなことで困っているか」を具体的に伝えればいいのです。「精神状態はどう」とか、「身体の調子はどう」とか…、そうすれば医師は、「夜は、よく眠れますか?」とか、「食欲はありますか?」と聞いてくるので、それに手短に答えていけばいい…ということになります。

もっとも最近は、最初に長い問診表を渡され、それに記入するよう促されることが多いので、それを書けば、医師はあなたの症状に合った薬を出してくれる運びになります。疲れている時は、問診表に記入するだけで、かなり体力・精神力を奪われるのですが、ここは頑張りどころです。

今言ったことは初診の心得で、2回目からは、「薬を飲んで、その結果、心と身体にどのような変化があったか?」だけ、手短に伝えればオッケーです。そうすれば医師は、あなたの症状に、さらに合った薬を処方をしてくれるようになります。

医師の前でうまく喋る自信がない方は、あらかじめ紙に書いて持って行って、それを医師の前で伝えれば宜しいかと思います。あまり長い話はしないようにするのがコツです。長いを話をすると嫌われますので要注意です。医師は、私たちが想像している以上に忙しい…、ということをどうぞ忘れないようにしてあげてください。

次に、医師には嘘をついてはいけません。薬を飲んでないのに「飲んでいます」と答えるようでは、病院に行っている意味がありません。このことも非常に重要です。もっとも、あなたが「診断書をもらうのが目的で病院に行っている」というのであれば、話は別です。

いろいろたくさんのことをお伝えしたのですが、この続きは、また次の機会にお話したいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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