GWの旅先で鍛える「出会う力」。データマッチング結婚が盛んな今こそ必要だ
4月29日が祝日のおかげですでにゴールデンウィーク気分である。有給休暇を取得して国内外への旅行に出かけている人も多いのではないだろうか。船旅が好きだという知人女性は「女一人、もしくは女2人でクルーズに参加すると、船の上でいろんな人に話しかけてもらえる。でも、結婚してから夫と参加したら他の人との交流はほとんどなし!」と嘆いていた。
カップルというのは強固で安定的な存在である一方で、様々な情報や出会いをシャットアウトしてしまう。男女2人組に対しては「二人だけの世界で充足しているのだろう」「お邪魔をしてはいけない」という意識が働くのだ。孤立を防ぐためには、カップルのほうから外に向けて気持ちを開くことが必要だ。
ただし、あまりに開きすぎると不満や嫉妬、浮気などの危険性が増大し、別れが訪れる。平日は仕事や家事で忙しくて顔を合わせる時間が少なく、休日もそれぞれの趣味を優先して別々に過ごすという夫婦もいる。どちらかが「何のために一緒になったのか」という疑問を持った時点で離婚へのカウントダウンが始まる気がする。
愛情と信頼に結ばれながらもそれぞれが個別の男女であるという矛盾をはらんだ人間関係を維持するためには、緊張感と新鮮さを保つ工夫が必要だと思う。行きは別々の航路で一人旅を楽しみ、目的地で合流して一緒に帰ってくる船旅などはどうだろうか。
結婚願望のある未婚者にとって「出会い」はさらに切実だ。出かけた先で良き伴侶候補を見つけたいと願わない人はいないだろう。しかし、旅はもちろんのこと合コンなどは結婚相手探しとしては効率が悪すぎる、と筆者は思っていた。「良さそうな人」が結婚指輪をしていないだけの既婚者である可能性もある。だからこそ、「良さそうな未婚の友人知人」を紹介するお見合いセッティングのボランティア(いわゆる「お見合いおばさん」)が必要だと主張し、実践もしてきた。
先日、大手結婚相談所のベテランアドバイザーにインタビューする機会があり、考え方を少し改めた。そのアドバイザーによれば、お見合いパーティーやアドバイザーによる引き合わせで成婚するカップルは全体数の2割に満たない程度。ほとんどの人は、何万人もの未婚者が登録しているデータマッチングシステムを活用して相手を見つけているのだという。合コンや街コンに加えて、筆者が推奨しているお見合いすらも成婚に至る確率は低いのだ。
しかし、それでも生身の出会いには意味があるらしい。見知らぬ異性と交流することでコミュニケーション能力や相手を見極める力を磨くことができるからだ。確かに、初対面の人にも最低限の気遣いができる人ではなければ、人間的に温かい異性と結婚を前提としたお付き合いに発展するのは難しい。どれほどデータマッチングを繰り返しても「ハズレ」ばかりを引くことになるだろう。
気遣いができるかできないかは成人するまでに身についてしまっている面も大きいが、素直な姿勢さえあれば30代40代から改善することも可能だと思う。そのためには多くの人の助けがいるのだ。無数の他者との生身の交流を通してしか人は成長をすることはできない。
旅先でふらりと入ったお店。席で隣り合わせた他人にもさりげなく気を配ることができるか。二度と会うことのないはずの店員に「おいしかったです。ご馳走さま」と感謝の気持ちを伝えられるか。「良い人と出会う力」はこのようにして積み重ねられていく気がする。