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東京港区の神社に“アライグマ”が出現 日本で増えて野生化した4つの理由

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
アライグマのイメージ写真(写真:アフロ)

東京都港区の神社で10月27日、ごみ箱を漁るアライグマの姿が撮影されました。

目撃された場所は、過去にまだアライグマが捕獲されていない場所で、都内で生息域を拡大しているとFNNプライムオンラインが伝えています。

アライグマは元ペット

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イメージ写真写真:イメージマート

アライグマは、もともと日本に生息していない動物でした。

アライグマは、アメリカ合衆国、エルサルバドル、カナダ、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、パナマ北部、メキシコなどの自然に生息しています。

そんな動物でしたが、1970年代に日本でアライグマが主人公のアニメが放送されて、人気になりました。このアニメの影響もあり、日本にアライグマが大量に輸入され、ペットとして飼育する家庭や動物園が増えたようです。

しかし、2005年に公布された「特定外来生物による生態系などに係る被害の防止に関する法律」の中で、アライグマが「特定外来生物」に指定されました。その辺りのところを見ていきましょう。

ペットだったのに、なぜ野生化しているのか?

アライグマは、愛くるしい黒い瞳と、なにかを洗っているように見える仕草をするのがかわいくて人気だったのです。

愛らしいので近くに置いておきたいと思い、ペットとして飼ってみると、アライグマは気性が荒く、ペットには向いていない生き物だったのです。飼育ができなくなった飼い主がアライグマを自然に放してしまったことで、野生化してしまったのです。

そのため、2005年に制定された外来生物法でアライグマの無断の輸入や販売だけでなく飼育などが禁止され、今ではアライグマは害獣と区分されているのです。

アライグマが日本で増えた4つの理由

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イメージ写真写真:イメージマート

外来生物であるアライグマが、東京港区の神社にも出現するようになり、日本で広く見られるようになった理由が4つあります。

1、天敵がいない

日本には、アライグマの天敵である猛禽類や肉食哺乳類がほとんどいません。そのため、彼らは捕食されて減ることがあまりないです。

2、高い繁殖力をもっている

アライグマは一度の出産で、5頭ほど子どもを産みます。天敵が少ないということもあり、出産すれば天敵に狙われないのでどんどん増えていきます。

3、雑食

アライグマは雑食性で、基本的になんでも食べます。都市部のゴミの管理方法が不十分だと、彼らがそのゴミを食べます。彼らは非常に賢く、ゴミ箱の蓋を開けて食べ物を探す能力を持っています。その他にも山や森が多い日本には小動物や果物などが豊富にあるため、繁殖し続けられたのです。

4、生息できる場所が多い

アライグマは適応力がとても高いです。山間部、温暖地域、寒冷地域などでも生息できます。家の軒下など隠れる場所が多いというのもあり、生き延びやすく繁殖しやすいのです。

野生化したアライグマ被害

日本に生息していなかったアライグマが野生化して以下の方面に被害が出ています。

・生態系への影響

アライグマは雑食なので、生態系への影響では、天然記念物の絶滅危惧種シマフクロウへの影響に限らず、エゾサンショウウオといった固有在来種の捕食などが問題になっています。

人への影響

アライグマがトウモロコシ、メロン、イチゴ、スイカなどの農産物や養殖魚(錦鯉)を食べて農林水産物を荒らしたりしています。家庭菜園の野菜なども食べます。

・人への感染症

アライグマはアライグマ回虫、狂犬病、レプトスピラ症などの人畜共通感染症のキャリア動物です。彼らが上記の病気を持っていると人に感染する可能性があります。素手で触ることは危険です。

まとめ

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イメージ写真写真:イメージマート

アライグマは、「特定外来生物」なのでいまは飼うことはできません。

見た目がかわいいというだけの理由で、動物をペットにすることは危険です。アライグマの生態をよく知って、輸入すべきでした。

いま、アライグマは日本で増えて危害を与えています。捕獲して、もうこれ以上繁殖しないように願うばかりです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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