Yahoo!ニュース

NBAセンセーション! 

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
3/25のHawks戦で18得点15アシストした#13James Harden(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ここ数年、NBAの顔となっているのがクリーブランド・キャバリアーズの#23レブロン・ジェームスであることに異論は無い。先日、867試合連続2桁得点し、マイケル・ジョーダンの記録を塗り替えた。そのレブロンに立ち塞がるのがゴールデンステイト・ウォーリアーズの#30ステフィン・カリーである。両者の対決は、手に汗握る好ゲームを連発して来た。今シーズンも、ライバル対決から目が離せない…。

 …のだが、今日、ヒューストン・ロケッツがNBAの台風の目となっている。4月1日現在、カリー擁するウォーリアーズに7.5ゲームもの差を付け、ウェスタンを独走中だ。チーム史上2位の記録である「ホーム連勝」数を18とし、攻守にわたってバランスの良さを見せる。

 ロケッツの看板である28歳のサウスポーガード、ジェームス・ハーデンが、トヨタ・センターでフリースローを放つ際には、観客たちが「MVP!」「M! V! P!」と大合唱で背番号13を後押しする。ハーデンは、本来ポイントガードだが、長短のパスを織り交ぜたゲームメイクも光る。トレードマークの長い顎鬚は老けた印象を与えるが、真近で見ると28歳の若さが迸っている。

 エースであるハーデンとコンビを組むのが、2013年のオールスターでMVPを獲得したポイントガードの#3クリス・ポール(32)だ。4度のアシスト王と6度のスティール王に輝いたポールは昨年6月にロケッツに移籍した。

 ポールは左ハムストリングスを痛め、3月22、24、25日と3試合を欠場した。その穴を期待以上埋めたのは2010年世界選手権のアメリカ代表選手、#10エリック・ゴードン(29)である。ゴードンも、2016年7月にロケッツに加入している。ここぞ、という時の3Pは圧巻だ。

 ハーデンが連戦の疲れを取るために直近の2試合を欠場すれば、ポール、ゴードン、そして若手選手が躍動する。層の厚さがロケッツのアドバンテージでもある。

 昨年夏、ヒューストンは大型ハリケーンの直撃を受けた。およそ50名が亡くなり、10万世帯以上が被害を受けた。#13ハーデンはホームタウンがハリケーンに見舞われた直後、被災者に$1ミリオンを寄付。そして直ぐに避難生活を強いられるヒーストンの住民を励ました。

 #42のブラジル人、ネネは言う。「被害を受けたヒューストン市民のことは、心にある。ウチの選手は各々が、それぞれの形で被災者たちをサポートしているよ」

 ホームゲーム18連勝は、その一つの現れかもしれない。

 ロケッツの快進撃はどこまで続くか。ウォーリアーズを阻み、ファイナルまで勝ち上がるか、あるいは頂まで到達できるか。NBA終盤戦、ロケッツに注目するのも面白い。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事