猫が突然走り出すのには理由があった!隠された本能と対処法を元動物看護師が解説!
しかし、その行動にはさまざまな理由があります。では、猫はどのような理由があって突然走り出したりするのでしょうか?
そこで今回猫が突然走り出す理由6つと、対処法について解説します。猫の飼い主さん、ぜひ参考にしてください。
1.猫が突然走り出す理由6選
1‐1.狩猟本能
猫は元々、ネズミや小鳥などの小動物を捕食して生きてきた肉食動物です。その習性の名残として獲物を追いかけ、捕まえるという狩猟本能が現代の猫にもしっかりと受け継がれています。
たとえば家のなかに入ってきた虫・揺れるカーテン・パタパタ歩く飼い主の足・窓の外の小鳥など。
こういった「獲物に近い動きをするもの」を見つけると、狩猟本能が目覚め、獲物めがけて一直線に走り出すのです。
飼い主にとってはびっくりする行動かもしれませんが、猫にとっては本能に基づいたいたって自然な行動なんですね。
1‐2.トイレハイになっている
猫がトイレをした後、まるでスイッチが入ったかのように部屋中を猛ダッシュしたり、大声で鳴いたり、ハイテンションな行動をとることはありませんか?
これが猫あるある「トイレハイ」という現象です。
トイレハイの理由は完全には解明されていませんが、野生時代の習性が関係するといわれています。
というのも野生下でトイレをするのは、いわば危険と隣り合わせの状態。無防備で敵に襲われてもすぐに逃げることはできません。
つまり猫は警戒をしながらトイレをするのですが、それが終わると、自分を奮い立たせるためにダッシュしたりテンションがハイになります。これがいわゆる「トイレハイ」です。
家の中では外敵に襲われることはありませんが、野生の名残からついトイレ後はダッシュしてしまうんですね。
1‐3.ストレスをかかえている
猫がストレスを感じると、そのストレスを発散するためにダッシュすることがあります。イライラした気持ちを落ち着かせようとしているのです。
猫はとりわけストレスに弱い生き物なので、大きな音や来客、引っ越しといった日常の些細なことでもストレスを感じてしまうことがあります。
ストレスを軽減するには、猫に落ち着ける空間を用意しおやつやおもちゃでストレスを発散させるのも大切です。
また飼い主は猫のちょっとしたサインを見逃さず、ストレス要因を取り除くよう心がけてあげましょう。
1‐4.猫同士でじゃれあっている
同居している猫同士は、お互いを狩りの対象とみなして追いかけっこをしたり、コミュニケーションのためにじゃれ合ったりするのが好きです。
そのじゃれあいのタイミングで猫が突然走り出すのは、狩りの練習で獲物役になっているとか、追いかけっこで逃げているというパターンでしょう。
猫同士のじゃれあいは、運動不足から来る余剰エネルギーを発散する手段にもなります。
そのため屋内で飼育されている猫にとって、このようなじゃれあいは貴重な運動の機会ともなるのです。
じゃれあいによって散らばった抜け毛が気になるところですが、飼い主はあたたかい目で見守ってあげましょう。
1‐5.運動不足になっている
猫が突然ダッシュしてしまう理由の1つに「運動不足になっている」ことが挙げられます。
野生下の猫は、広いテリトリーで自由に活動していました。しかし室内飼育が一般的な現代では、十分な運動ができない状況に置かれがちです。
このような運動不足が、突然のダッシュにつながります。
猫は基本的に寝ていることが多い動物ですが、一度に大量のエネルギーを燃焼する「短時間の激しい運動」を好みます。野生の猫なら獲物を追跡したり、縄張り争いの喧嘩をしたり。
しかし室内飼育では、刺激も少なく運動の機会が激減してしまいます。そして余ったエネルギーが爆発し、突然ダッシュしたり暴れだしたりするのです。
これを「猫の運動会(真空行動)」といいますが、ストレス発散行動のひとつでもあります。
とくに体力がある若い猫は、こういった行動を見せることが多いです。
1‐6.体に違和感がある
体に違和感を感じたときもダッシュすることがあります。違和感というのは主に痛みや痒みのことです。
猫はふいに体に痛みや痒みといった不快感を感じると、ダッシュすることでその場から逃げようとします。
そういった場合は寄生虫や皮膚疾患など、何かしらの疾患が生じているサインかもしれませんので、変わったところがないかチェックしてみましょう。
2.突然のダッシュを抑えるには?
猫が突然ダッシュするのは本能に基づいた行動のひとつでもあるので、完全にSTOPさせることは難しいでしょう。飼い主には「見守る心」が求められます…。
しかし次のようないくつかの対策をうてば、少しは突然ダッシュを抑制できるかもしれません。
・運動不足を解消する
適度な運動や遊びの時間を設けることで、余分なエネルギーを発散させましょう。インタラクティブなおもちゃを使ったり、レーザーポインターで遊んだりするのも良い方法です。
・環境のストレスを減らす
猫が落ち着ける空間を提供し、大きな環境の変化は避けるよう心がけましょう。また、他の動物や騒音などのストレス要因を取り除くことも重要です。
・健康状態をチェックする
突然のダッシュが病気の症状ではないかを確認しましょう。体調の変化に注意を払い、必要に応じて獣医に相談するのがよいでしょう。
3.まとめ
猫が突然走り出すダッシュには、運動不足によるストレス解消、体の違和感、遊びの一環といったさまざまな理由があります。
突然走り出す様子は、飼い主から見るとクスッと笑えますが、猫自身は本能に基づいた「猫らしい行動」をしているだけ。
突然ダッシュへの対策はいくつかありますが、完全に止めることは難しいため、飼い主は寛容な心を持つのと、猫がダッシュでケガしない環境づくりを行いましょう。