Yahoo!ニュース

ダルビッシュ有のクオリティ・スタート率83.3%はここ10年のトップ10にランクイン。特筆すべきは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)Sep 13, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)は、30先発中25試合でクオリティ・スタート(QS)――先発6イニング以上&自責点3以下――を記録した。20試合以上の先発マウンドに上がった124人のうち、QS率80%以上は、ダルビッシュを含めて3人しかいなかった。

 フランバー・バルデス(ヒューストン・アストロズ)が83.9%(26/31)、ダルビッシュが83.3%(25/30)、アレック・マノーア(トロント・ブルージェイズ)は80.6%(25/31)だ。ちなみに、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と菊池雄星(ブルージェイズ)は、それぞれ、57.1%(16/28)と15.0%(3/20)だった。

 バルデスとダルビッシュのQS率は、2012~2022年――短縮シーズンの2020年を含んでいるので、実質的にはここ10年間――にシーズン20先発以上の延べ1200人以上のなかでも、トップ10にランクインする。バルデスは8位、ダルビッシュは2014年のコール・ハメルズと並ぶ9位だ。

 今シーズンの3人を含め、2012年以降にシーズン20先発以上でQS率80%以上は、延べ21人(規定投球回未満を含む)。クレイトン・カーショウ(現FA)は、2013~16年に80%台のQS率を4シーズン続けた。ジョン・レスターは、2014年と2016年の2度だ。

筆者作成
筆者作成

 今シーズンのバルデスは、連続QSのシーズン最長記録を塗り替えた。4月25日から9月18日まで25連続QS。2018年にジェイコブ・デグローム(現FA)が記録した、24連続QSを上回った。QSのストリークについては、8月に「この投手が継続中の「20連続クオリティ・スタート」は100年間に8人だけ。サイ・ヤング賞もある!?」で書いた。

 一方、今シーズンのダルビッシュは、21人のなかで唯一人の防御率3.00以上だ。ただ、4月12日の1.2イニングで自責点9を除くと、防御率は2.70まで下がる。むしろ、特筆すべきは35歳のシーズン(6月30日時点)にQS率80%以上を記録したことだろう。21人のうち、そのシーズンの年齢が35歳以上だったのは、2012年のR.A.ディッキーと今シーズンのダルビッシュだけ。他の19人は33歳以下だ。また、10年前のディッキーは37歳ながら、ナックルボーラーなので、年齢よりも、不安定な「魔球」を操りながらQS率80%以上という点が注目に値する。

 なお、ダルビッシュのQS率83.3%は、メジャーリーグにおける自己最高タイ。2020年と同じだ。2年前は、12先発中10試合でQSを記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事