相次ぐ自販機ベンダー業界の労働問題 背景にある業界再編とストライキ
本日配信された、京都新聞の自動販売機ルートセールスの記事「自販機補充「ルートドライバー」過酷、長時間労働や不足金自腹 実態知って、労組結成」が大きな反響を読んでいる。
配信されたのは1時間ほど前(執筆時点)だが、すでに1000件ものコメントがつけられている。
記事で取り上げられている京都府のベンダー業者で働く労働者は、長時間労働に低賃金、入社以来ほとんど有給休暇も取れないという。賃金の半分ほどが自動販売機の売り上げに対する歩合賃金で、無理をしてでも長時間労働をしないと、生活が成り立たない状況にあるということだ。
まるでブラック企業ユニオンが組合を組織した、ジャパンビバレッジと同じような労働条件だ。
ジャパンビバレッジにおけるストライキの成果
ベンダー業界をめぐっては、「有給チャンスメール」など、企業の悪さばかりが取り上げられがちだが、その裏ではブラック企業ユニオンのストライキや順法闘争による大きな成果が上がっていることにも注意を促しておきたい。
ジャパンビバレッジで組合が勝ち取った成果はざっと次のようなものがある。
- 事業場外みなし労働時間制の廃止
- 過去の未払い賃金の支払い
- 休憩取得
- 有給休暇の取得
- 支店の労働者の増員
ジャパンビバレッジは、組合に対する敵対的な態度をとりつづけているが、労働者・ユニオンからの訴えを受けて、こうした改善をせざるを得なかったのだ。
自動販売機ルートセールスの労働条件が変わるチャンス
また、ジャパンビバレッジでのストライキを見た同業種の労働者が、あらたにユニオンを作る動きも広がっている(大蔵屋商事の例)。
大蔵屋商事は200名ほどの小さな会社で現段階でも人手不足でルートセールスドライバーはひと月100時間以上の長時間労働を強いられているのだが、この数か月で運営する自動販売機の数が増えているのだという。
その背景には、大手飲料品メーカーやジャパンビバレッジなどの大手が自社の労働時間を削減するために、中小企業に押し付けている背景があるようだ。
さらに長時間労働が蔓延すれば、過労死すら生み出されてしまう。しかし、こうした時こそ、労働組合が闘いやすい状況が生み出される。
なぜなら、人手不足になればなるほどストライキや順法闘争影響力が高まるからだ。
業界再編が起きているいまこそ、労働条件を改善するチャンスだということもできる。
専門家の相談を
労働組合を結成するには、個人で加盟できる労働組合にいる専門家のアドバイスを受けるのが一番良い。彼らは、労働法の知識はもちろん、さまざまな闘う術を知っている。
個人では対応できないような事情に困っていても、サポートもしてくれる。また、労働組合の結成や加入を検討している場合にも、安心して労働組合をつくれるように、丁寧なサポートをもらえるだろう。
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