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奇跡のブサかわ犬「わさお」くんが天国へ ザギトワ選手も切望した秋田犬ってどんな犬?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ロイター/アフロ)

志村けんさんのお気に入りで、何度も「志村動物園」に出演していた「わさお」くんが、推定13歳で天国に逝きました。青森県鰺ケ沢町の町おこしにも力を貸してくれた「わさお」くんは、保護された秋田犬です。犬の持つ力ってすごいですね。最近では、あまり見かけなくなった日本犬です。秋田犬ってそもそもどんな犬か知っていますか?

 ブサイクながらかわいい「ブサかわ犬」としてブームを巻き起こした青森県鰺ケ沢町の秋田犬「わさお」が、多臓器不全のため8日に死んだことが9日、分かった。推定13歳で、人間では90代前半に当たるとみられる。

 支援団体「わさおプロジェクト」によると、わさおは4月1日ごろから、衰えにより自力で立ち上がることができなくなっていた。今月7日に健康状態が急激に悪化。元気や食欲がなくなったほか、排尿難がみられ、全身にむくみが出ていた。8日の午後5時54分に息を引き取り、関係者によると「まるで眠りに落ちるかのような、安らかな旅立ちだった」という。

出典:「ブサかわ犬」わさお天国へ、大好きだった飼い主菊谷節子さん、志村けんさんに会えたかな

秋田犬ってどんな犬?

撮影筆者 『世界のいぬ』より
撮影筆者 『世界のいぬ』より

もともと秋田県の山の辺りで飼われていた大型の猟犬(柴犬の2倍から3倍)です。

平昌冬季五輪の女子フィギュアスケート金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手は、秋田犬のファンで、秋田犬「MASARU(マサル)」が贈られて飼っていることも有名ですね。実は、渋谷駅にある銅像「忠犬ハチ公」も秋田犬です。

性格

SNS上では、秋田犬のかわいい動画がよく流れています。耳がもふもふしているし、こんな犬が日本にもいたのか、と思って見ている人も多いのでしょう。ただ、昔に比べて最近では随分と数が減ってしまい、私はいま、1頭だけ秋田犬を診察しています。この子も以前の秋田犬よりずいぶんおとなしくなっています。

元来の秋田犬は忠誠心が大変厚く、家族には愛情深く、家族の人のいうことはよく聞きます。

一方、それ以外の人や犬を警戒します。つまり、噛んだりすることもあるのです。改良は進んでいるものの、猟犬や闘犬の勇敢で頑固な気質が残る部分もあります。昭和の時代、大型犬といえば、秋田犬かジャーマン・シェパードでした。どちらもそれほど、家族以外の人にフレンドリーではありませんでした。

そんなときに、大型犬であるゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーが出てきたのです。これらの犬種は、家族以外の人にも、社交的な子が多くて、一気に人気になりました。現在では、大型犬といえば、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーが、一般的になりました。

秋田犬の体格

体高:58cmから70cm

体重:34kg から50kg

平均寿命:10歳少し

毛:白、赤、胡麻(白と黒が混じったような色)、虎(縞柄)

毛質は、ダブルコートでアンダーに綿のような毛があります。換毛期のときに、多量に毛が抜けます。

絶滅の危機

第2次世界大戦中に、激減したので秋田犬保存会などにより繁殖されています。

秋田犬のなりやすい病気

・股関節の疾患

大型犬なので、股関節炎になりやすいです。

・認知症

柴犬もそうですが、日本犬は認知症になりやすいです。

・目の疾患

・アトピー性皮膚炎

など

秋田犬を飼うときの心得

「わさお」くんやSNSの動画を見て、飼いたいと思っている人がいるかもしれません。以下の点を心得てくださいね。

・秋田犬はあり余る体力を持っているので、十分な運動が必要です。

・子犬の頃からしっかりとしつけをして、コミュニケーションを行い、飼い主との信頼関係を作りましょう。

・1日に2回は散歩に連れていき、1時間以上は散歩してあげましょうね。

・家族以外の人への警戒心があるため、注意しましょう(散歩中は知らない人に触れさせないようにしましょう)。

まとめ

コロナ禍で、自宅にいる時間が長くなった人も多いと思います。

それで、犬を飼いたいね、といってSNSを見ている人もいるでしょう。ネット上には、かわいい秋田犬がたくさんいます。「ブサかわ犬」の「わさお」くんの顔を見ていると、飼ってみたくなりますよね。ただ、秋田犬は大型犬なので、フィラリア症の予防薬など、小型犬より薬代がかかりますし、散歩も時間が取られます。大型犬でも10年以上の寿命があるので、その点もしっかり考えてから、飼ってくださいね。病気になっても、老いが来ても、愛犬とはずっと一緒に傍らにいることを忘れずに。「わさお」くんのように立てなくなっても(世話をすることは並み大抵のことではありません)、最期まで見守ってあげてくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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