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打倒古巣へ。サンウルブズのリーチ マイケルが「…ばれちゃう」と照れた? 【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
タッチライン際でのチャンスメイクにも期待がかかる(著者撮影)。

 質問に答えた直後に「ばれちゃう」。このやり取りには、適度にリラックスした心理状態や準備内容への手応えが現れているのだろうか。

 国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦して3季目のサンウルブズは、3月24日、東京・秩父宮ラグビー場でチーフスと対戦する。チーフスは過去優勝2回の強豪で、当日も世界ランク1位のニュージーランド代表経験者を6名、登録させる。

 そのチーフスに前年度まで3シーズン在籍のリーチ マイケルは、サンウルブズのブラインドサイドフランカーとして出場予定だ。23日、会場での前日練習を終えると共同取材に応じた。

 サンウルブズは現在、開幕4連敗中。現地時間17日は敵地・南アフリカのヨハネスブルグで前年度準優勝のライオンズに38-40と迫ったが、要所でのラインアウト(タッチラインからボールを投入するプレーの起点)でターンオーバーを許し、星を落としていた。

 次の第6節に出れば4試合での先発となるリーチは、古巣とプレーすることへの高揚感、チームの状態などについて語った。「ばれちゃう」と話したのは、自ら捕球位置を決めるラインアウトの談話を求められた時だ。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チーム状態は。

「いい感じに、緊張しています。今週はフィジカルで(身体を当てて)いまはいい感じに」

――古巣との対戦に向けて。

「すごく楽しみです。3年間、あのなかでやっていて、実際にどれくらい強いのか、相手になってやってみたい。ひとりひとりの個人能力は高い。ただ、一番の弱点はスクラム(フォワードが8対8で組み合うプレーの起点。リーチは後方側面に入る)。そこを、突いていきたいと思います」

――今回、元同僚にあたるチーフスの選手と連絡を取ることは。

「リアム・メッサム(リーチの国内所属先である東芝にも在籍)と連絡を取っていて、おいしい焼き肉の店を教えてくれと言われて。牛角を教えました(一同、笑い)」

――最後に、意気込みを。

「スーパーラグビーのなかでも強いチームとやれるのは楽しみです。生のチーフスが見られることで、ファンの方にとっても楽しい試合になると思います。明日、サンウルブズが勝てば、かなりいい自信になると思います」

 ここまではテレビ局主導の質疑で、以後は新聞やインターネットメディアなど複数媒体からの質問に移る。

――チーフス戦では、南アフリカ遠征に帯同しなかった堀江翔太選手、田中史朗選手、田村優選手といった経験者(いずれも2015年のワールドカップ日本大会に出場)が揃います。

「かなり、期待しています。遠征から帰ってきたら、(日本にいた)田村がチームを引っ張ってくれています。さっきも、どうチームを落ち着かせるかという話をしました。堀江さん、フミさんという経験者が入ることで、周りも少し安心する。(田中と同じスクラムハーフである)キャプテンの流大はベンチに回ることで、後半にインパクトを出せると思います」

――改めて、相手チームについて。スタンドオフに入るファンタジスタ、ダミアン・マッケンジーにはどう対抗しますか。

「チームでプレッシャーをかける。(防御網の飛び出す)ラインスピードをどんどん上げると、何か(ミスしやすいプレーなど)をしようとするだろうから。彼はトリッキーな選手なので、全員でちゃんと見ないといけないです」

――リーチ選手は、対するキャプテンのサム・ケインのことをお手本だと言っていましたが(「明日も朝7時」日本代表リーチ マイケル主将 ニュージーランドから独占取材【ラグビー旬な一問一答】)。

「タックルが本当に強い選手なので、1回、当たって、どれくらい強いかを試したい」

――ラインアウトについて。

「ラインアウトはお互いの心理戦になります。どこに(捕球しやすい)スペースがあるか、どこでコールすべきか…。自分たちには、相手をどう崩すかというプランがあります。ラインアウトは重要になります」

――前節までの試合のラインアウトを通し、どんな反省点がありますか。

「レベルズ戦と同じく、相手が×××で自分たちのボールが取れない。今回は××××。…それ言うと、ばれちゃうよね(一同、笑い)」

――…聞かなかったことにします。

 チームは19日の月曜日に南アフリカから帰国した。火、水、木、金の4日間のトレーニングを経て土曜日の試合に備える。

 通常より短い準備期間にあって、日本代表も指揮するジェイミー・ジョセフヘッドコーチは強度の高い練習を遂行。体調管理よりも、高強度への耐性をつける。そんな意図が見え隠れする。リーチは続ける。

「(今週は)ジェイミーが興奮して、練習の内容は全部、コンタクトあり。…いい感じに準備ができています」

――リーチ選手の興奮度合いは。

「興奮するのは明日。いまは、抑えています」

 適度な緊張感を保ち、ラインアウトの「プラン」を首尾よく遂行したい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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