「侍ジャパンだけではないWBC」第2回 不人気によるチケットの迷走
2017年WBC世界3都市での観戦への道。前回はソウルとLAへの航空券の手配について記した(幸いにして、東京ドームには地下鉄で行ける)。ここからはチケットの購入についてで、今回はその前編だ。
WBCのチケットに関しては、まずお伝えしておきたいことがある。ぼくは、熱心なWBCフォロアーを自認しているが、WBCのチケットには一度ならず二度までも裏切られた?ことがあるのだ。
2009年の第2回大会、サンディエゴでの第2ラウンド日本対韓国戦でのこと。ぼくは、最も高い70数ドル(正確な金額は忘れた)の席を奮発し、ネット裏で観戦していた。試合が中盤に差し掛かった頃、ペトコ・パークの職員のオジサンが、2階席の観客をガラガラの1階に下りてくるよう誘導を始めたのだ。テレビに映る1階席の空席を少しでも埋めようという配慮のようで、2階席から移動してきたファンは幸運に大喜びだったが、ぼくは大いに狼狽した。
2度目は2013年だ。この時は、1月上旬にサンフランシスコでの決勝ラウンドのチケット販売がWBCオフィシャルサイトで開始されるや、いち早くゲットした。
そして、3月中旬にサンフランシシコに飛んだ。日本対プエルトリコの準決勝の日、ぼくは試合開始の2時間前にAT&Tパークに到着したのだが、周辺は、すでに両軍のサポーターの熱気でお祭り騒ぎだった。
早速、日本から注文しておいたチケットをチケットブースで受け取ったのだが、そこには困り果てた雰囲気の日本人家族の姿があった。年配のご夫婦と彼らの娘さんと思われる30代くらいの女性2人だ。どうやら、チケットを受け取るにはどうすれば良いか分からないようだ。こちらもたいして英語は堪能ではないが、「お役に立つなら」とサポートを申し上げた。彼らが受け取ることになっているのは関係者枠のチケットのようだった。てっきりスポンサーの招待チケットかと思い、代わりに窓口で受け取るので名前を教えて欲しいと申し上げると、ご主人が「○○と申します」。えっ!「ひょっとして・・・」「ええ、そうなんです」。
彼らが受け取ろうとしていたチケットは、スポンサー関係ではなく選手の家族枠だったのだ。
ぼくは得意のインチキ英語でチケットを受け取り、彼らにお渡しした。その時、何と言うべきか迷ったのだが、正直に「精一杯応援させていただきます」とお伝えすると、お父様が代表してとても丁寧にお礼を述べてくれた。プロ野球選手の父君というと、スポーツ用品店のオヤジさんのようなタイプを想像しがちだが、きちんとジャケットをお召しの紳士だった。また、その選手の母君と妹さん(と思う)も華美すぎないいでたちで上品な方達だった。
残念ながら、その試合で侍ジャパンは敗退したが、この日以降その選手はぼくのひいきの1人になった。
しかし・・・・この時は、心温まるふれあいはともかくチケット価格の迷走に傷つけられた。
ぼくが、3試合通しのチケットを購入したのは前述の通り1月上旬のこと。価格はチケットマスターの手数料等を除き290ドルで、内訳は準決勝2試合がそれぞれ85ドル、決勝戦が120ドルだった。場所は、一塁ベース後方で前から4列目。なかなかの臨場感だった。
ところが・・・
サンフランシスコに到着した日に、WBCのHPでは大量に売れ残ったチケットが、なんと199ドルで「公式バッタ売り」されていることを見つけてしまった。その差、91ドル・・・
さらに、3試合セットではなく個別試合単位で購入すると、準決勝2試合目のオランダ対ドミニカ戦では、ぼくのエリアの席は35ドル(日本対プエルトリコ戦はそこまで安くはなっていなかった)で、決勝戦は70ドルだった。
正直なところ、隣の席に座っているファンがこっちより1試合あたり50ドルも安く買っているかもしれないと考えると、心中おだやかではなかった。
おそらくチケットの約款には小さな字で「価格は変動する可能性がある」ことがきっちり書かれていたのだと思う。それを確認しなかったこっちは間抜けだったのだが、4年前は現在ほどリセールマーケットが確立していなかったせいもあり、「公式チケット価格まで変動する」のは「想定外」だった。
この大会が終わった時、ぼくは心に誓った。「次回も必ずWBC決勝ラウンドは現地観戦する。しかし、チケットは決して先走って購入したりしない」。ところが、それでももうチケットを購入してしまったのだ。
<続く>