間も無くゴング! 21歳の全米アマ王者プロ転向第1戦
2021年全米ゴールデングローブ王者、ジオバンニ・マルケスが今夜プロデビューする。対戦相手は2勝0敗のドミニカン、ネルソン・モラレス(30)。
4回戦であるにもかかわらず注目され、デビュー戦だというのにSHOWTIMEでオンエア―されるのは、マルケス父のラウルが元世界王者で、現在コメンテイターとして活躍中だからだ。
オスカー・デラホーヤと共にバルセロナ五輪に出場したマルケス父は、ゴールデンボーイの親友として、ボブ・アラムと契約しプロに転向。1997年4月12日にIBFスーパーウエルター級タイトルを獲得した。2度の防衛に成功したが、王座転落後は存在感を示せなかった。
特に1999年7月17日、同タイトルの返り咲きを狙ってフェルナンド・バルガスに挑んだ折には、KOされた後に勝者からデラホーヤTシャツを体に被せられるという屈辱を味わっている。
だが、引退後はスペイン語解説者として地道にキャリアを重ね、現在もタキシードやスーツ姿でリングサイドから戦況を見詰める。真面目な人柄が、高い評価を得ている。
143パウンドで前日計量をパスした息子、ジオバンニは語った。
「全米王者になり、様々な扉が開けたのでアマチュアを卒業しました。SHOWTIMEの番組でデビューできるなんて夢にも思いませんでしたよ。リングに上がるのが楽しみです。
『父の存在がプレッシャーにならないか?』とよく訊ねられますが、確かにそうですね。でも、それをモチベーションに変え、いつもベストパフォーマンスを見せるんだという気持ちでやっています。
常に、"もっとプロらしいスタイルで戦わねば"と感じてきました。アマは3分×3ラウンドですが、十分な長さだとは思えません。多くの選手が逃げ回り、ホールドし、細かい連打を放ちますよね。でも、僕はプロらしい戦い方がしたいんです。
モラレスが飢えているのは分かっています。彼にとって、非常に遣り甲斐のある一戦でしょう。でも、僕に勝つのは難しい。ボクシング界に強烈な印象を与えるような勝ち方をしてみせますよ」
144.5パウンドで計量をパスしたネルソン・モラレスも言った。
「ボクサーだったら、誰もが自分の試合がTV放送されることを望む。SHOWTIMEに出してもらえるなんて、考えたことも無かったよ。このチャンスを逃しはしない。
マルケスはアマチュアとして豊富な経験を持っている。父親は元世界王者だしね。彼はまったくナーバスにはなっていないだろう。互いにベストコンディションで戦えるに違いないさ。
俺は先日30歳になったところだが、自分のやるべきことをするだけだ。彼のようにチャンスに恵まれた人間じゃないし、たった1度の機会かもしれない。必ずモノにしてみせるよ」
今夜、マルケス父は解説席には座らず、息子のコーナーに付くようだ。果たして、どんなファイトになるか。アマチュア王者がサラブレッドらしさを発揮するか、ドミニカンが咬ませ犬の牙を見せるか、間も無くゴングだ。