米ネット広告市場、グーグルの影響が拡大 モバイル向け広告急伸、PC向けは減少続く見通し
市場調査会社の米eマーケターがまとめたネット広告市場に関する調査によると、昨年1年間における米国のネット広告費は、モバイル端末向けが前年比で122.0%増となったが、パソコン向けは同2.3%増にとどまった。
パソコン向け、検索広告ではすでに前年割れ
同社の予測によると、今年のモバイル向け広告費は前年比83%増と、引き続き好調に推移する。一方パソコン向けは同2.4%減と、マイナスに転じる見通し。パソコン向けはその後4年間、2.1%減〜10.6%減の範囲で前年割れが続くと同社は予測している。
またネット広告のカテゴリー別で最大規模となっている検索広告への今年の支出額は、モバイル向けが同82.3%増の90億2000万ドルに、パソコン向けが同9.4%減の135億7000万ドルになるとの予測だ。
検索広告は今のところパソコン向けが大半を占めている。だが、スマートフォンやタブレット端末などモバイル端末の利用が急増しており、昨年はパソコン向けが初めて前年割れとなった。
2013年に0.8%だったパソコン向け検索広告の減少率は2018年には33.1%にまで落ち込むとeマーケターは予測している。
グーグル、モバイルへの移行を加速
eマーケターによるとこの市場で大きな影響力を持っているのは最大手の米グーグル。例えば同社は昨年、「エンハンストキャンペーン(enhanced campaigns)」という広告サービスを開始した。
これは、広告の掲出先をパソコンに限定せず、モバイルにも広げようという試み。従来広告主は、掲出先をパソコンにするかモバイル端末にするか自由に選択できた。だがグーグルは、これらを1つのパッケージとして提供するという方針に変更。どの端末に広告を出すかはグーグルのシステムが自動で決めるという新方式を導入した。
このほか、グーグルは商品検索サービスで「プロダクト・リスティング・アド(Product Listing Ads)」という広告サービスを展開している。
こちらは検索結果画面に商品の写真、価格、小売店の名称、販売サイトへのリンクを掲載するというもの。モバイル端末上では、テキストのみのリンクよりも効果的だと言われている。
eマーケターによると、昨年はこれらのいずれもがクリック数の増大に寄与しており、この傾向は今後も続くという。
グーグルのシェア、今年も4割超の見通し
昨年、グーグルの全検索広告収入に占めるパソコン向け検索広告の割合は76.4%だった。これが今年は66.3%に低下するとeマーケターは予測している。
またグーグルのモバイル向け検索広告収入は今年、17億6000万ドル増え、同社検索広告収入の3分の1を占めるまでになるという。
なおこれに先立ちeマーケターが公表していた推計によると、今年の米国モバイル広告市場における企業別広告収入シェアは、グーグルが前年比0.8ポイント増の42.3%となり、首位を維持する見通し。
これに次ぐのが米フェイスブックで、同社のシェアは13.7%。この後、米ツイッター(同4.1%)、米パンドラメディア(同3.5%)、米YP(3.4%)、米アップル(3.2%)が続くと予測している。
(JBpress:2014年3月18日号に掲載)