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第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会ベスト4決まる②

中川路里香フリーランスライター

熱戦が続く『第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会』準々決勝、第3、4試合のリポートです。

【第3試合】高知中央 5-4 横浜隼人 

横浜隼人 000 002 2 4

高知中央 013 010 x 5

■バッテリー

横浜隼人  伊藤、村松、本橋―野口

高知中央  藤原、宗塚―村中

高知中央は、序盤から4点をリードすると、5回にも前日の履正社戦で好投した横浜隼人3人目、本橋未菜さん(2年)からも1点を奪い、5点をリードしました。先発・藤原歩生さん(2年)は、この試合が初登板ながらも5回まで2安打に抑える好投を見せます。

このままでは終われない横浜隼人から、終盤に脅威の反撃に合って最終回途中でマウンドを譲りましたが、最後まで逃げない粘りの投球が光りました。

「無理にでも笑おう」と励ました

初登板だった高知中央・藤原歩生さんは、監督から「温存や」と言われていただけに、先発を言い渡されたときは「ついに来た」とワクワクしたといいます。しかし、いざマウンドに立つと、かなり緊張してしまったそうです。それを支えたのがキャッチャーの村中星南さん(3年)。マウンドに何度も駆け寄り、藤原さんの頭をポンポンと優しく叩くなどする姿が印象的でした。

緊張する藤原さん(左)を励まし持ち味を引き出した村中さん
緊張する藤原さん(左)を励まし持ち味を引き出した村中さん

高知中央高校は創部3年目。3年生の村中さんは女子硬式野球部の一期生として、部をつくり上げてきました。それだけに「1,2年生には、自分たちのために一生懸命プレーして欲しい」と、後輩たちを思いやります。マウンドに駆け寄ったとき「無理にでも笑って」と声を掛けたといいます。強豪校に勝利し「自分たちのやってきたことは間違いじゃなかったんだと思えて本当に嬉しかったです」と話しました。最後の打者を三振に取り試合終了の瞬間、思わず嬉し涙を浮かべたのは、そういった思いが込み上げてきたからなのかもしれません。

横浜隼人に勝利し、少し泣きそうな表情を浮かべた村中さん
横浜隼人に勝利し、少し泣きそうな表情を浮かべた村中さん

【第4試合】神村学園 3-4x 秀岳館 

神村学園 002 100 0 3 

秀岳館  003 010 X 4

■バッテリー

神村学園  都、栞田―吉富、天久

秀岳館    石川、平田、杉尾―柳口

シーソーゲームとなったこの試合。3-3で迎えた5回裏、秀岳館は1死二塁から4番・西村さんのセンタータイムリーヒットで勝ち越しに成功します。しかし6,7回と走者を許すなど、最後まで気を抜けない展開に。最終回、走者を出しながらも最後の打者を空振三振にとり逃げ切りました。

勝ち越しタイムリーを放った秀岳館4番・若本七海さん(2年)
勝ち越しタイムリーを放った秀岳館4番・若本七海さん(2年)

適格なアドバイスでリードし逃げ切る

秀岳館ベンチからは山田豊監督が選手たちへ向けて的確なアドバイスが送っていました。逆転してすぐの4回表に1死一、三塁のピンチを迎えると「1点はいいから」とキャッチャーで主将の柳口恵莉果さん(3年)にすかさず声をかけ、同点で逃れました。柳口さんは「監督は、いつも私たちがどうすれば良いのかわかりやすく教えてくれます」と話してくれました。

最終回、2死をとりながらも四球で走者を許すと、山田監督は即、マウンドへ伝令を送りました。リードはわずかに1点。後がなく、このチャンスに勢いづく神村学園に対し、冷静さを見失わないためのグッドタイミング。その証拠に、最後の打者を空振三振にとったのです。

大喜びで勝越ランナーを迎える秀岳館ベンチ
大喜びで勝越ランナーを迎える秀岳館ベンチ

フリーランスライター

関西を拠点に活動しています。主に、関西に縁のあるアスリートや関西で起きたスポーツシーンをお伝えしていきます。

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