菅野獲得を狙うメッツの先発ローテーション事情
ポスティングシステムによるメジャー移籍を目指している菅野智之にニューヨーク・メッツが関心を持っていると地元紙の「ニューヨーク・ポスト」が報じている。
2020年は26勝34敗でナショナル・リーグ東地区最下位タイに沈んだメッツは、11月にスティーブ・コーエン氏が24億7500万ドル(約2574億円)で買収して、新オーナーに就任した。
50年以上に渡る筋金入りのメッツ・ファンであるコーエン・オーナーは、1986年以来となるワールドシリーズ制覇を願っている。新型コロナウイルスによる無観客試合と60試合短縮シーズンによる大幅な減収の影響を受けていないコーエン・オーナーが率いるメッツは、今オフに大型補強に動ける数少ないチームの1つである。
2020年のメッツはロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースに次ぐメジャー3位のチーム総年俸を誇ったが結果が伴わなかった。
チーム防御率はナショナル・リーグで下から4番目の4.98だったが、2021年は菅野が入らなくても改善されそうな兆しはある。
エースの「JDK48」こと32歳のジェイコブ・デグロムは2018年と19年のサイ・ヤング賞投手で、20年の投票でも3位に入った現役メジャー最高の先発投手。19年開幕前に5年総額1億3750万ドル(約143億円)でメッツと契約を延長して、21年は年俸3350万ドル(約34億8400万円)を手にする。
JDKに次ぐ2番手は、新型コロナウイルスの感染を避けるために20年は全休した29歳のマーカス・ストローマン。2017年のWBCでMVPに選ばれたストローマンは、今オフにメッツから提示された1890万ドル(約19億66560万円)で残留を決意。
160キロの速球を投げる28歳のノア・シンダーガードは今年3月にトミー・ジョン手術を受け、21年シーズン半ばにはローテーションに復帰できる予定。メッツは年俸調停の資格を持っていたシンダーガードとの調停を避け、12月22日(日本時間23日)に年俸970万ドル(約10億880万円)で合意している。
2020年に全休したストローマンとシンダーガードが戻ってくれば、メッツはリーグ屈指の先発三本柱を誇ることになる。
シンダーガードが復帰するまでの先発三番手を務めるのは、メジャー2年目の25歳、デビッド・ピーターソン。新人だった昨季は、6勝2敗でチームの勝ち頭となった。17年のドラフト1巡目指名を受けて入団したピーターソンは、21年の先発ローテーション入りが確定している唯一のサウスポーだ。
残りの先発枠は29歳の左腕スティーブン・マッツと31歳のセス・ルーゴの予定。
菅野が加入すればJDK48、ストローマン、シンダーガードに次ぐ先発4番手となる。ブルペンの経験があるルーゴをロングリリーバーとして起用でき、19年に二桁勝利を記録したマッツを保険として置ける。
JDK48とシンダーガードが160キロを投げる本格派なので、技巧派の菅野が入ることで、先発のバランスも整う。多様な球種を投げるストローマンから菅野が学べることも多いだろう。
菅野を獲得できれば、メッツの先発ローテーションはリーグでもトップクラスとなり、5年ぶりとなるプレイオフ復帰に大きく近づく。