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「マッチングアプリ婚」に潜む危険をどう回避?弁護士が解説

後藤千絵フェリーチェ法律事務所 弁護士
(写真:イメージマート)

1 結婚のきっかけ1位はマッチングアプリ!

今年の結婚のきっかけランキング1位は「マッチングアプリ」で、「職場や学校」を上回ったそうです。また、今年結婚した人の出会いのきっかけが5人に1人はマッチングアプリだったともいわれています。

https://www.asahi.com/articles/ASQCK42BGQCKULFA00B.html

写真:アフロ

確かに、結婚のきっかけが「マッチングアプリ」で知り合ったというケースは近年とみに増加しており、もはや珍しくもなんともなくなってきました。

また、テレビ番組の「日曜日の初耳学」の調査によると、マッチングアプリで結婚したカップルの離婚率は通常の離婚率より低いという結果も出たそうです。

あらかじめ、好みのタイプを入力できたり、相手のプロフィールがわかったりするなど、マッチングアプリで知り合った方がうまくいく確率が高いというのはある意味、当然の結果と言えるのかもしれません。

身元保証に力をいれるアプリ会社も増えてきており、以前より安全性は格段にアップしています。

とは言え、マッチングアプリはネット上の出会いのツールであり、一定の危険があることは否定できません。

では、マッチングアプリで婚活をする際には、どういうことに気を付ければ、後から離婚問題にまで発展するようなトラブルを防げるのでしょうか?

今回は、マッチングアプリ婚の注意点について述べたいと思います。

2 マッチングアプリで婚活する際の注意点と対策

私は兵庫県西宮市で家事事件を中心に扱う法律事務所を経営する弁護士ですが、最近、相談があった例をご紹介しましょう。

A子さん(40代)は、マッチングアプリを介して知り合った相手と意気投合して結婚の約束をしました。

相手の男性は、一流企業に勤務し、長身でルックスも抜群。A子さんは、「ようやく運命の相手に巡り合った!待っていた甲斐があった!」と天にも昇る気持ちだったそうなのですが、交際後、数カ月してから相手が既婚者であることが判明しました。

結婚話が進展せず、業を煮やしたA子さんが問い詰めたところ、あっさりと相手が白状したそうです。

それだけでもショックなのに、A子さんは、はからずも不倫をしていたことになり、相手の男性の妻から慰謝料請求をされてしまったのです。

写真:イメージマート

同様のケースは他にもあり、マッチングアプリに既婚者が紛れ込んでいる危険性があることは十分認識しておいた方がいいでしょう。

相手が既婚者であると知っていたか、または既婚者であることを知らなかったことに過失があると認定されてしまうと、裁判では不倫による慰謝料支払い義務が生じてしまう可能性があります。

マッチングアプリ側でも登録の際に「独身証明書」の提出を義務付けるなど、こういったトラブルを防ぐために力を入れているところも多いですが、いわゆるライトな出会いを求めるアプリなどを利用する際はご注意ください。

こういったライトなマッチングアプリを介して知り合った相手との不倫相談は、最近とくに増えています。実は、結婚後も、配偶者が相手に隠れてマッチングアプリを続けているケースは思いのほか多いのです。

もともと浮気性な人の場合は、マッチングアプリを使うかどうかは別として、結婚後も浮気を繰り返す傾向があります。

ライトなマッチングアプリなどでの成功体験がある方は、いざ結婚してみて相手とうまくいかなくなると、また別の相手をマッチングアプリで探せばいいと考えてしまいがちなのかもしれません。

結婚する際は念のため、お互いマッチングアプリのアカウントを削除するとか、マッチングアプリの利用が判明した場合はペナルティを設けるなどのルールをあらかじめ決めておくことをおすすめします。

3 最後に

写真:アフロ

マッチングアプリは、いまや婚活において欠かせないツールとなっています。

マッチングアプリによって、普段は出会えない素敵な相手と出会う可能性が無限に広がっているとも言えます。

しかしながら、簡単に相手を見つけられるという点は、いわば諸刃の剣。

簡単に出会えた分だけ、別れも簡単になってしまわないように、マッチングアプリで知り合ってからの交際期間、そして結婚してからが大切です。

少なくとも、お互いに対する理解と愛情を深めていく努力を欠かさないことが必要と言えるでしょう。このあたりはマッチングアプリでもそうでなくとも、全ての結婚生活において共通することです。

フェリーチェ法律事務所 弁護士

京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。

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