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ノジマのホームを沸かせた6ゴール。横山の空白を感じさせなかった長野の攻撃力(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
ノジマと長野の試合は両チーム合わせて6ゴールのシーソーゲームとなった(C)松原渓

7月1日(土)に行われた、リーグカップ第6節のノジマステラ神奈川相模原とAC長野パルセイロ・レディースの一戦は、3−3の痛み分けとなった。

ノジマのホームを沸かせた6ゴール。横山の空白を感じさせなかった長野の攻撃力(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

菅野将晃監督(ノジマ)

ーー今日の試合を振り返っていただけますか?

前半は、(ノジマ)ステラのサッカーをしっかりやれていて、自分たちの流れで早い時間帯に先制点を獲ることができました。ただ、一番、警戒していたセットプレーと、ケアしていた(長野の)泊(志穂)選手の走りにやられてしまい、あの展開で2点目を獲られて追いつかれてしまったことが、今日のゲームを自分たちで難しくした原因だと思います。長野は流れを掴むと非常に強いということは警戒していたのですが、そこを引き出させてしまいました。結局、ミス絡みで勝ち越されてしまいましたけれども、力のある長野に対して、最後に追いつけたことは選手たちの頑張り(を評価したい)です。

ーー3点目の(パオ・ミッシェル選手の)ゴールはいかがでしたか?

最後に相手を右にかわしたところで、入るな、と思いました。チームとして、ああいう個の力を発揮できる選手は少ないです。パオは、練習であの形になれば9割方ゴールが入りますから。今日の彼女はキレも非常に良かったですね。

ーーカップ戦では5つの交代枠を使って多くの選手を起用されていますが、チームの競争力も上がっている手応えはありますか?

もちろん、そういう(競争力を上げる)意図もありますが、昨年は2部のカップ戦の中で全選手を起用して予選を勝ち抜いたことで、チームが大きく成長できました。今年は丸ごと(11人を)代えるわけにはいかないので、練習の中で気持ちを出してくれたり、キレの良さを見せてくれた選手は積極的に起用したいと考えています。ただ、今日のように試合展開が厳しいと、なかなか思い切って代えられないな、と思っています。

MF 川島はるな(ノジマ)

ーー1点目の得点を振り返っていただけますか?

右サイドからクロスのような形でボールが来たのですが、南野(亜里沙)選手がスルーする形で、ワンタッチでシュートしました。ミートしたわけではないのですが、良い感じで当たって入ったので、良かったです。(先制して、試合を)いい形でスタートできたことは良かったのですが、個人的にはミスや、視野が狭くなってしまう部分が多かったです。簡単に失点したところは反省しなければいけないですね。試合によってコンディションが良いことや悪いことはあるので、その時のコンディションに合わせて、早くボールを叩(はた)くようにするなど、工夫していきたいです。

ーーなぜ、視野が狭くなってしまったのでしょうか?

下(グラウンド)が緩かったこともあるのですが、最初のタッチがうまくいかなくて相手に寄せられたり、次の場所をよく見ていなくてミスでボールを獲られた場面がありました。

ーー次節に向けての意気込みをお願いします。

サイドでプレーするか真ん中でプレーするかは分からないのですが、今回、視野が狭くなってしまったことなど、反省点を次につなげたいと思います。

DF 國武愛美(ノジマ)

ーー今日のプレーを振り返って、いかがですか?

最初は、自分たちのペースでやれていたのですが、前線の選手が点を獲ってくれた後にすぐに点を獲り返されてしまったり、個人的にはパスミスで流れを崩してしまったところがありました。失点が多くなってきているので、次の試合からはゼロに抑えていきたいです。

ーー3ヶ月前の(リーグ戦での)対戦と比べて、成長した手応えはありますか?

個人的には、泊選手への対応が(前回対戦よりも)しっかりできたかなと思います。

ーー継続的にプレーする中で、1部の感覚に慣れてきましたか?

そうですね。相手の速さやパススピードなどは、最初の方はついていけないところもあったのですが、今はどうすれば対応できるか、自分で考えながらやれていると思います。

ーー今シーズンは相手によって3バックと4バックを使い分けていますが、どのように切り替えていますか?

システムによってポジショニングも変わりますし、相手のマークや受け渡しも、(ディフェンスが)3枚と4枚ではいろいろと変わってくるので、その都度、連携に対応できるように意識しています。

MF 田中陽子(ノジマ)

ーー得点の場面を振り返っていただけますか?

今日は結構、前目のポジションでプレーできました。(ゴールの場面は)その前のプレーで打っておけば良かったなという場面があったので、積極的にダイレクトで狙いました。

ーー後半、押し込まれる時間が長くなった要因について、どのように考えていますか?

前半は自分たちのリズムでプレーできていたのですが、その時間帯も、一人が一気にスピードチェンジして裏に行くような崩し方ができていませんでした。

リズムが出ない時こそ守備で流れを変えないといけないのですが、前半と同じように守備をしてしまったことも(後半の流れが悪かった)原因だと思います。勝っている時こそ、声を掛け合ったり、中央をしっかり締めるなど、攻めている時の守り方を徹底することが大事だと思います。

ーー個人としてのコンディションに、変化はありますか?

徐々にコンディションが上がってきています。特に、守備の面でハードワークすることを自分なりに意識しています。1対1で勝てると状況が変わってくるので、最後まで相手についていくとか、球際で勝てるように意識してきたことが、成果として出るようになってきたと思います。

本田美登里監督(長野)

ーー試合を振り返っていただけますか?

ノジマの、出たり入ったりという流れに慣れるのに15分ぐらいかかりましたね。もうちょっと早めに(選手たちが)慣れてくれたら、ゲーム展開は変わったかなと思いますが、最初はバタバタしてしまいました。(試合終盤の)あの時間帯に本気モードで決める(ノジマの)パオ(・ミッシェル)選手は持っているな、と。最後の方は足が止まってきたと思ったら、最後の最後でパワフルに来ましたね。

ーー3ゴールを獲った手応えは、いかがですか?

クロスからの泊のシュートは本当に珍しくて、去年のカップ戦の浦和(レッズレディース)戦以来、1年ぶりぐらいだと思います。横山(久美)がいなくなった中で、ボランチの國澤(志乃)と齊藤(あかね)がボールを持って、捌(さば)きながら展開するという、新しい形が見えました。「こういう形をやるんだ」と(私が)言うよりも、選手たちが作っていってくれたらいいと思っています。(新加入の)中野(真奈美)はコンディションがまだ整っていないのですが、タメを作れる選手ですし、スルーパスも出せる。また、新しく面白いチームができたらいいなと思っています。

ーー試合前には、選手たちにどのような声をかけて送り出したのでしょうか?

前線に山崎(円美)がいて、クロスに対しては強いものを持っている選手なので、クロスを上げ続けていこうと話しました。一番、彼女たちが言われたくないのは「横山がいなくなったから負けちゃったよね」ということだと思います。選手全員が、点を獲る意識がありました。

ーー中野選手をFWで起用された狙いを教えていただけますか?

本当にクレバーで、どこのポジションもできる選手なんですよ。コンディションが整ってくれば、横山に代わる戦力になってくれると思います。

MF 内山智代(長野)

ーー82分からの出場でしたが、どのようなことを意識してピッチに立ったのですか?

ノジマのサイドの選手も足が速くて、縦に行かれている場面が多かったので、まずは縦(のコースを)切りながら相手にプレスをかけて、(ボールを)奪って攻撃につなげるイメージを持って試合に入ったのですが、攻撃につなげる部分が足りませんでした。

ーー3−3という結果については、どのように捉えていますか?

得点した後の失点が早かったので、そこは自分たちの集中が欠けていたのかなと思います。勝ち切りたいゲームでした。

泊選手がヘディングシュートで決めた2点目は流れも良く、今まではあまりなかったクロスからのゴールでした。(横山)久美が抜けてしまった中で、みんなで獲れた得点だったので、すごく良かったと思います。

ーー今シーズン、個人的にはどのような結果を出したいと考えていますか?

(私は)どちらかというと、攻撃よりも守備的な選手なので、まずは自分の良さである守備から、しっかり高い位置でボールを奪って攻撃につなげるという点でチームに貢献したいと思っています。身長もそれなりにありますし、競り合いでは負けたくないので、得点に絡んでいくことも意識しています。

MF 齊藤あかね(長野)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

今日の試合は、ゴールを奪った後に、取り返されるまでが早すぎました。奪った後、集中が切れてしまうところは、まだまだ自分達に足りない部分です。ただ、2点を奪われた後に追いつけたことは評価したいですね。

ーー前半の2失点はどのようなことが原因だったと思いますか?

前半は特に守備面で、(ノジマの)ボール保持者に対して誰がマークに行くのかということがはっきりしていなくて、その隙を突かれてしまいました。(守備の)人数は足りているのに、簡単に相手の得意なポゼッションをさせてしまい、1対1の場面でも簡単にかわされて、崩されてしまいました。

ーーチームとして、シュートへの意識はいかがでしたか?

今まで、チームの得点源だった久美が一人でやっていたことを埋めなければいけない、という意識はみんなが持っていたと思います。今週の練習の中でも、全員がシュートを意識してプレーしていました。一人で相手をはがすというよりは、総力が大事なので、そういう部分でみんなの意識が高まっていたと思います。

DF 小泉玲奈(長野)

ーー今日のプレーを振り返って、いかがですか?

最後に1点、リードしていたので、残り時間も少ない中で勝ちきれなかったのは悔しいですね。序盤のように流動的に動かれると、場面ごとの状況判断を早くしなければいけないので、一番見えている後ろのポジションからの声かけを早くして、どのコースを切るのかを、もっと前の選手に指示できるようにしたいです。

ーー今シーズン、試合に出続けている中で、自分のプレーで手応えを感じている部分を教えてください。

以前はプレーに迷いがあったのですが、最近は、思い切って行けるようになりました。以前よりは積極的にプレーできるようになってきたかな、と思います。守備の面では、近いポジションの選手とコミュニケーションをもっと積極的に取っていけたらと思っていますし、攻撃にももっと関わって、チームに貢献したいです。オーバーラップをすることもそうですし、運べるところまで運んで、周りを使うプレーも増やしていきたいですね。

ーー中野真奈美選手が加入して、どのような変化を感じていますか?

真奈美さんにボールが入ると落ち着くので、ゲーム自体もバタバタしなくなりますし、(キープしてくれている間に)前線に上がる時間もできるので、頼もしい存在です。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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