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進む、若年層のフェイスブック離れ 利用者数23.8億人誇るも、アメリカでは若者が大挙して去っていく

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米フェイスブックは先の決算発表で、同社サービスの月間利用者数が、23億8000万人となり、1年前から8%増加したと、報告した

米国利用者が減少、過去2年で1500万人減

 しかし、このほど米エジソン・リサーチが行った調査によると、フェイスブックの米国利用者数は減少が続いている。とりわけ若年層でこの傾向が顕著だと、同社は分析している。

 この調査によると、2017年時点で、米国人(12才以上)の67%がフェイスブックを利用していた。しかし、昨年はこの数値が62%となり、今年1〜2月に行った最新調査では、61%に低下した。その具体的な人数は、1億7200万人。2017年時点から1500万人減少した。

若年層では1700万人の減少

 これを、12〜34才の年齢層に限定して見ると、状況は悪化する。2017年時点で79%あった利用者数比率は、昨年67%に、今年は62%に低下。この年齢層の利用者は、2017年から1700万人減少し、6500万人となった。

 そして、35〜54才の利用者も、2017年時点の72%から69%へと低下。

 ところが、55才以上が、49%から53%へと上昇していたことが、今回の新たな動きとなっている。

 こうした状況をドイツの統計会社スタティスタ社が、インフォグラフィックスを用いて分かりやすく解説している(図1)。

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 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は決算発表で、「我々のコミュニティとビジネスは引き続き成長している」と自信を示していた。

 だが、このコメントの内容は、米国では一部の年齢層に限ったもの、と言えるのかもしれない。そして、これは、おそらくフェイスブックにとって、由々しき事態となりそうだ。

フェイスブック離れの背景

 フェイスブックは依然として、最も頻繁に利用されているソーシャルメディアである。今回、調査対象となった米国人(12才以上)の52%が、最も使うソーシャルメディアとしてフェイスブックを挙げた。

 この数値は、「インスタグラム」では16%、「スナップチャット」では13%で、「ピンタレスト」「ツイッター」では、それぞれ、わずか5%にとどまる。

 しかし、これを12〜34才層に限定して見ると、フェイスブックを最も頻繁に利用している人は、わずか29%で、4年前の58%から大幅に低下した。つまり、フェイスブックは、ここ数年、若者の不人気が増しているようだ。

 なぜ、このように、若年層が大挙してフェイスブックから離れているのか、エジソン・リサーチのレポートには、その明確な理由は記されていない。しかし、前述したスタティスタは、55才以上の利用者が増えていることと関係があると推察している。

 「両親、おばさん、おじさんなどの世代の異なる人たちからの友達リクエストが増えていることに、ティーンエイジャーが困惑するのも無理はない」(スタティスタ)

 このほか、(1)フェイスブックでは大量の個人データが流出した問題などがあり、信頼が失われたこと、(2)より簡素で、個人データの収集も少ない、インスタグラムやスナップチャットに若者が流れていることも理由と見られている。

 インスタグラムは、フェイスブック傘下のサービスである。「だからと言って、それがフェイスブックというソーシャルメディアが今直面している問題の解決とはならない」と、スタティスタは指摘。フェイスブックは、若者を引き留めるための抜本的な解決策を見いだす必要に迫られている。

  • (このコラムは「JBpress」2019年3月14日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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