学級閉鎖が急増し3年ぶりの水準 感染対策をしているのになぜインフルエンザは拡大するのか?
新型コロナ第8波はようやく落ち着きを見せてきましたが、そのかわりにインフルエンザが増加しています。全国平均では定点医療機関あたり10.36人と「注意報」レベルを超えています。さらに、1週間の学級閉鎖は1,326と3年ぶりの数を記録しました。感染対策を講じているのに、なぜ感染が拡大するのでしょうか。
インフルエンザは「注意報」レベル
1週間の定点医療機関あたりのインフルエンザ患者数が、1人超で「流行期入り」、10人超で「注意報」、30人超で「警報」とされています。
2023年第4週(1月23日~1月29日)のデータによると、定点医療機関あたりの患者数は全国平均で10.36人となっており、「注意報」レベルを超えて流行が続いています(図1)。
国立感染症研究所によると、「警報」レベルに到達している地域は、全国で32地域あります(2)。都道府県としては、沖縄県がすでに3週間連続で「警報」レベルとなっています。
学級閉鎖は3年ぶりの水準
年齢別では圧倒的に子どものインフルエンザが多く、どの地域でも学級閉鎖が相次いでいます(図2)。
2023年第4週(1月23日~1月29日)の学級閉鎖数は1,326と、2020年2月以来、3年ぶりの数を記録しました。
感染対策をしているのになぜ拡大するのか
マスク着用についてはそろそろ緩和の方向で・・・という議論が進んでいますが、ほとんどの人はマスクを着用しています。多くの人が感染対策を継続しています。
しかし、なぜインフルエンザの感染が拡大するのでしょうか。いくつか理由が考えられます。
まず、新型コロナ対策によって国全体で感染症を抑圧していたことから、インフルエンザウイルスに曝露されずに過ごし、当該ウイルスに対する免疫が集団として成立していないことが挙げられます。
次に、コロナ禍に入ってインフルエンザの流行がみられなかったことから、「どうせ今年も流行しないだろう」ということで、インフルエンザワクチンを接種していない人が多い可能性があります。
また、海外からの渡航や新型コロナの「5類」化に向けて感染対策の緩和もすすんでいるため、インフルエンザの感染が拡大する条件がそろっています。
まとめ
今後インフルエンザの感染がピークに向かうと予想されますが、全国的に「注意報」レベルへ入ったことから、今後数週間は特に注意が必要です。
基本的な感染対策である、手洗いの徹底やアルコール消毒、不織布マスクの着用が重要です。
マスク着用の緩和の議論も大事ですが、インフルエンザシーズンが終わってからのほうが賢明かもしれません。
(参考)
(1) インフルエンザに関する報道発表資料 2022/2023シーズン(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00010.html)
(2) インフルエンザ流行レベルマップ(URL:https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html)