元F1、コバライネンも参戦!スーパーGT、GT500の2015年ラインナップ!
4月4日(土)5日(日)に岡山国際サーキットで開幕するレース「SUPER GT」はトヨタ、ニッサン、ホンダの各社が2015年のモータースポーツ活動の体制を発表し、3社が争うGT500クラスのチーム&ドライバーラインナップが明らかになった。今年も元F1ドライバーの参戦など、非常に豪華な布陣となっている。
ニッサン:大きく変えずに連覇を狙う!
昨年よりDTMとのパーツ共通化が実施され、新規定となったGT500クラス。新生GT500初代チャンピオンに輝いたニッサンは今年も4台の「NISSAN GT-R」を投入するが、チャンピオンチームの「#1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)」をはじめ、ドライバーラインナップには大幅な変更を加えてこなかった。
#1 MOTUL AUTECH GT-R (NISMO) タイヤ:ミシュラン
松田次生 / ロニー・クインタレッリ
#12 CALSONIC IMPUL GT-R (IMPUL) タイヤ:ブリヂストン
安田裕信 / ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
#24 D’station ADVAN GT-R (KONDO RACING) タイヤ:横浜ゴム
ルーカス・オルドネス(第1戦〜3戦)、ミハエル・クルム(第4戦〜)
/佐々木大樹(全戦)
#46 S Road MOLA GT-R (MOLA) タイヤ:ミシュラン
本山哲 / 柳田真孝
4台の中で唯一ラインナップに変更があるのは「#24 D’station ADVAN GT-R」で、第1戦〜3戦までは佐々木大樹のパートナーをルーカス・オルドネスが務める。オルドネスはPlaystationの人気ゲーム「グランツーリスモ」と日産自動車のコラボレーションプロジェクト「GTアカデミー」出身のドライバーで、ゲーマー出身ドライバーとしても話題を呼んできた。昨年はGT300クラスで優勝するなど速さとミスの少なさで評価も鰻上り。ついにGT500クラスのデビューを飾る。ただ、SUPER GT出場が決定しているのは最初の3戦のみで、今シーズンのオルドネスは「ルマン24時間レース」にも参戦するほか、全日本F3選手権へもニッサンの若手ドライバー育成プログラム(NDDP)の一員としてフル参戦するため、シーズン後半はWECとF3に集中するものと思われる。第4戦以降はミハエル・クルムがドライブする予定だ。
ニッサン陣営は今年も4台と3メーカー中、最も台数が少ないが、ミシュラン、ブリヂストン、横浜ゴムの3銘柄のタイヤを使用し、サーキットや気候によってそれぞれのアドバンテージを活かして上位に浮上を狙えることも総合的な強さの秘密。熟成度合いも高まる2015年の連覇は堅いか!?
トヨタ(レクサス):元F1ドライバーも!バランスの良い布陣に
レクサスブランドの「レクサスRC F」で参戦するトヨタは今年も最多の6台をエントリーさせる。注目はやはりSARDが走らせる#39「DENSO KOBELCO SARD RC F」にF1でも優勝経験があるヘイキ・コバライネンが乗ることだ。マクラーレンなどで活躍したコバライネンがレース復帰の舞台として選んだのが「SUPER GT」だった。
SARDは今年からルマン24時間レースをはじめとするWEC(世界耐久選手権)にも参戦するが、本人はSUPER GTに集中するという意思を表明している。それでも今後は何らかの関連性も出てきて欲しいものだ。それにしても、鈴鹿と富士以外のサーキットは未経験のF1優勝ドライバーがGT500でどんな走りを見せるか非常に興味深い。エリック・コマスなど国内外から数多く元F1ドライバーが出場してきたSUPER GTだが、F1優勝経験者の参戦は史上初となる。それだけSUPER GTが実績充分な海外のプロドライバーからも注目されているということだろう。
#6 ENEOS SUSTINA RC F (Team LeMans) タイヤ:ブリヂストン
大嶋和也 / 国本雄資
#19 WedsSport ADVAN RC F (BANDOH) タイヤ:横浜ゴム
脇阪寿一 / 関口雄飛
#36 PETRONAS TOM’S RC F (TOM’S) タイヤ:ブリヂストン
伊藤大輔 / ジェームス・ロシター
#37 KeePer TOM’S RC F (TOM’S)タイヤ:ブリヂストン
平川亮 / アンドレア・カルダレッリ
#38 ZENT CERUMO RC F (CERUMO)タイヤ:ブリヂストン
立川祐路 / 石浦宏明
#39 DENSO KOBELCO SARD RC F (SARD) タイヤ:ブリヂストン
平手晃平 / ヘイキ・コバライネン
今年のレクサス陣営にはTOM’Sに乗っていた中嶋一貴が今シーズンはWEC(世界耐久選手権)にフル参戦するためSUPER GTには出場しない。そこでレギュラー出場のチャンスを得たのが平川亮。昨年は2戦にTOM’Sから代役出場し、オートポリス戦では5位を獲得するなど役目をしっかりと果たしてきた平川は「#37 KeePer TOM’S RC F」のドライバーに抜擢された。
ラインナップは今年、若干のシャップルがあり、36号車のTOM’Sのエースには伊藤大輔が起用される。また、平手晃平が39号車SARDに移籍して、コバライネンと新コンビを結成。38号車のZENTには石浦宏明が移籍した。タイヤのチョイスは今年もブリヂストン5台と横浜ゴムが1台。昨年の後半から復調気味の横浜ゴムを履く19号車WedsSportも脇阪と関口のコンビは変わらずで、今シーズンは期待がもてそうだ。
ホンダ:大シャッフルで起死回生のNSX復権を狙う
2014年は4気筒ターボエンジンの開発で遅れを取り、さらには特別規定のミッドシップレイアウトを採用し、全体的に苦しい1年となったホンダ勢は今年、大きなシャッフルを行い、心機一転して挑むことになった。
まず、チームとしては伝統のワークスチームだった「童夢」が撤退し、かわって15号車として道上龍が率いる「Drago Corse」と「Honda Racing」のジョイントチーム「Drago Modulo Honda Racing」がSUPER GTに参戦することになり、5台のラインナップは維持されることになった。
#8 ARTA NSX CONCEPT GT (ARTA) タイヤ:ブリヂストン
松浦孝亮 / 野尻智紀
#15 Drago Modulo Honda Racing タイヤ:ブリヂストン
小暮卓史 / オリバー・ターベイ
#17 KEIHIN NSX CONCEPT GT (REAL)タイヤ:ブリヂストン
塚越広大 / 武藤英紀
#64 EPSON NSX CONCEPT GT (NAKAJIMA)タイヤ:ダンロップ
中嶋大佑 / ベルトラン・バゲット
#100 RAYBRIG NSX CONCEPT GT (チーム国光) タイヤ:ブリヂストン
山本尚貴 / 伊沢拓也
ドライバーラインナップは大幅変更されることになったホンダ陣営。まず、昨年はCR-ZでGT300を戦った野尻智紀が8号車「ARTA」からGT500デビューを果たす。スーパーフォーミュラでも優勝する速さと器用さは同チームの大きな武器になるはず。そして、ルーキーとしては15号車「Drago Modulo Honda Racing」からはオリバー・ターベイが初参戦。彼はマクラーレンのF1テストドライバーでもある。また、100号車「チーム国光」は伊沢拓也の国内レース復帰で山本尚貴とのコンビが復活。どちらも新進気鋭のドライバーとして攻めの姿勢でガムシャラに戦っていた時代の組み合わせだけに、あらゆる経験を手にした2人が今改めて組むことでホンダ陣営の軸になってきそうな予感。
17号車「リアルレーシング」は塚越広大の新たなパートナーに武藤英紀を迎えることに。そして、GT500唯一のダンロップタイヤを履く「NAKAJIMA RACING」はカーナンバーを64号車に変更。タイヤでいえば、新規参戦の15号車「Drago Modulo Honda Racing」がブリヂストンを履くことから、ホンダ陣営にミシュランユーザーは居なくなった。
今年は新型NSXのデビューイヤーとなる。もちろんSUPER GTマシンの中身は市販車と全く異なるが、新型NSXでの唯一のレース活動だけに今年のGT500での活躍は重要。絶対に負けられない。
今年も新たなエッセンスが加わり、昨年以上に熟成され、改良された3メーカーのGT500マシンがどんな戦いを展開するか、「SUPER GT」のワクワク感はファンの興味を大いにひきつけそうだ。